感謝と祈り-3
私の愛する人、大事な人。
私に『愛してる』と言ってくれてありがとう。
私が不安や悩みを持った時、黙って手を繋いでくれてありがとう。
私に『恋』と『愛』を教えてくれて、本当にありがとう。
少年は少女の元へとたどり着くと、村に戻ろうと言いました。
少女は、泣きたくなるのを必死にこらえました。
今日自分の命が消えることを知っていた少女は、あえて少年に会わずに逝こうと決めていたのです。
少女は少年の胸に抱きつき、心の中で少年に謝りました。
私は、悪い女です。貴方と決して叶わぬ約束をしてしまったのだから。
叱ってほしい、罵ってほしい。だけど私はそれを聞くことも、償うことも出来ない。
少女は、段々と自分の視界がぼやけていくことに気付きました。
もう、限界が近いのです。
少女は、霞む視界で少年を捉えました。
私には、もう貴方と肌を重ねる時間さえ無い。
私の『命』は、もう歌う力さえありません。ただ……。
少女は少年と唇を重ねると、少年に語りかけました。
私はずっと貴方の側にいる。
だから、精一杯歌って。貴方の『命』を。