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出会い
【ガールズ 恋愛小説】

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手を繋ぐ-2

『そっそれはそうと、千鶴の野次馬魂はすごいからね。ある意味賞状ものよ』
 くすりとする彼女の含み笑いが聞こえた。何に対しての笑みだろうか。
 その姿が大人っぽくもあり、子供っぽくも見える。
 あたしはしばらく自分が彼女に見とれていたことに気付く。
 それが急に恥ずかしく思えてあたしはごまかすように千鶴の話を続けた。
『千鶴はね。いっつもそうなんだよ。小学校のキャンプの時も、中学校の修学旅行の時だってそう、千鶴の手に掛かれば次の日には全校に広まってしまうわ。』『ふふっ。千鶴さんらしいね』

 千鶴の話をしているのに何故かあたしは涼子ちゃんが気になる。
『でしょ。だから美央も災難ね。明日には他人から自分の噂を聴くはめになっちゃうわ』

 そんな時、千鶴からメールが届く。
『(美央ちゃんなんか面白い感じですよ。もう少し様子見ているから先に行っていてね)』
『ったく。もう』
 相変わらずの千鶴節にあたしは呆れながら、ため息をつく。
『千鶴さんからですか?』『うん。そうだった。まだ見ているってまったくもう』
 すると、再び携帯電話が振るえたのを感じた。
 不思議に思いながら携帯電話を開く。
『(追伸。涼子ちゃんとふたりっきりだからって涼子ちゃんを襲うなよ)』
『だっだれが襲うか』

 あたしは携帯に返事してしまう。
 もう、書かれている内容と騒いでしまった恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだった。
『どうかしたんですか?』 そこで尋ねる張本人。いや、天然って恐いのね。
 まるで確信犯のように、彼女の芳香はあたしの顔を真っ赤にさせるには十分だった。
『ううん。なんでもないよ。なんでもない』
『本当ですか?なんだかひどく慌てているみたい。顔も真っ赤よ』
 言えるわけ無いわ。それはたぶん貴方のせい。
『あははっ。きっと魚とかみて、テンションあがっちゃったんだよ。だから大丈夫』
 我ながら無茶苦茶な誤魔化し方だと心の中で苦笑しつつ、話題をそのまま話題を変えようとした。
『そう言えば、この先は一番大きな水槽なんだって。何でも、ジンベイザメがいるんだって。ジンベイザメはすっごい大きいらしいよ。さあ、行こう?』
 涼子ちゃんはまだ不信げにあたしを見ている。
 千鶴のせいであたしは変に彼女を意識してしまったみたいです。ただそれだけのこと。

 あたしたちはジンベイザメの水槽にやってきました。
 パンフレットに大きく載せてあるだけ、実際見てみるとため息が出るほど感動した。
『わあ。すごい。本当に大きいんですね。ふふっ。でもちょっと可愛い』
 そんな風にはしゃぐ涼子ちゃんが可愛らしく見える。
 あたしは純粋にそういう行動が可愛いなと思っただけで、別に涼子ちゃんが可愛いとか、だって彼女は女の子だし。
 あたしが感じていたのはただの興味でしかなかったのに、もしかしたらあたし、それ以上のことを望んでいるの?分からない。

『彩夏さん?さっきからなんか変だけど。それよりも、こっちから見るともっとよく見えそうだよ。行こう』
 あたしの指先が熱を帯びた柔肌を感じる。
 そういう些細な事を気にしている。やっぱり、あたしなんか変。
 そう惚けていたためか、気付いた時にはあたしたちはしっかり手を繋いでいた。
 もう涼子ちゃんの馬鹿、よりによってこんな時に。 あたしは何だか体中が熱くなって、心臓の音が煩いくらい聞こえた。
 けど、実はそれを心地よく感じている。
 楽しげに進む彼女についていきながらあたしはそう思った。
 二人の手を繋いだままで。


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