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『夕子〜島の祭りの夜に啼き濡れて…〜』
【その他 官能小説】

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『夕子〜島の祭りの夜に啼き濡れて…〜』-6

朝一の肩に寄せた身を起こし、夕子は顔を上げ数回自身の頬を打つ。
「小5だったかな…生理が始まった時に…」
「おばさんから?」
「おばあちゃんには…黙ってろって言われてたらしいけど…」
「何て…おばさん」
「朝ちゃんを好きになるなって…本当の、いとこじゃないって…絶対好きになっちゃいけない…って」
 月と波と闇を映した夕子の瞳から、思いの全てを宿した涙が溢れ始める。
「夕ちゃん…」
 夕子が朝一を、見る。涙を落としながらも尚、朝一の目を見ようと必死に顔を上げる。
「好きだった…ずっと、好きだったから…辛かった…」
 崩れる様に朝一の胸に、夕子の顔が埋もれてくる。
「ごめんね…朝ちゃん…ごめんね」
 朝一の胸を、夕子の涙と、夕子への愛しさが深く濡らしていた…。

 重ねる唇で、涙を拾う。夕子の頬を包み、込み上げる熱を分け与える。触れる舌先が、今日までの記憶を封じ込める。乳房の奥。鼓動。それを胸に受けた朝一が、浜に夕子の身を導く。胸の高鳴りが、波の音にさらわれる。強く、強く、何度も、何度も、唇を、求める。重なる影。汗をかいた腕に、砂がまとわりついてくる。
「夕ちゃ…夕子」
 浜すれすれにある夕子の耳を噛みながら、朝一はその名を呼ぶ。背中に回された手。夕子がきつく抱き締めてくる。足下に波の音が寄せる。首筋に滑り込み、汗を舐め、砂を噛む。愛することが罪だと言われ、頑なにそれに従ってきた夕子の心が今、解放されようと燃え上がる。月明かりに差し出す乳房は、白く透き通る…。

 乳首を含んだ瞬間から、夕子の喉から泣くような母音が溢れる。その柔らかな丘に顔を埋め、朝一は不乱に愛撫を送る。砂のついた指が、乳首に触れ、微かに震えながら乳房に押し込む。
「あぁあっぁ…」
 ざらついた舌先が、乳首を転がして過ぎてゆく。流した涙。溢れる涙。夕子の全身が、朝一を求めて泣いている。遠くを走る車の音。沖を滑る船の明かり。島を包む祭りの余韻。二人だけが、今、淫らにも美しくその身をさらしていた。強く舌を押し当て、朝一が夕子の肌を濡らす。乳房を廻り、脇腹へ抜ける。唾液に濡れた肌が、闇の中で妖しく光る。昼間の熱を吸い込んだ浜が、蒸れた湿気を夕子の背中に送る。露わになった乳房が、悦びに揺れている。

 重なる影。ジーンズ越しに感じる、朝一の隆起。逞しく血液を溜めこんだ肉棒が、夕子の腿に熱を伝える。
「欲しい…」
 喉の奥。今、この瞬間に解き放たれた、夕子の想い。互いのベルトを外し、口づけを交わす。砂に沈みそうな感覚。僅かの迷いもなく、朝一が腰を落としてくる。キスをするように、互いの性器が軽く触れる。敏感な神経が、それだけで夕子の体に震えを起こす。夕子の流した涙が、湿った砂を濡らしてゆく。雲間から月が姿を現し、朝一の背中に優しく白い光を送る。
「夕子…」
 強引なまでに割って入ってくる。涙を拭う様に…涙を誘う様に…夕子の深いところで止まり、皮膚で熱を送る。少年ではなく、男の朝一。少女でなく、女の夕子。今という時間が“動き始める”

 時に窮屈に。時に自由に。朝一は激しく夕子を貫く。子宮から脊髄を一本の線で繋ぐような突き上げに、夕子は背を反らして喘ぐ。砂に埋もれていきそうな、二人の鼓動。愛しさが涙になり、涙が汗に変わる。受け入れることの悦び。求めることの歓び。互いが互いの体を共有することの幸せ。呻きを落とし、喘ぎを放つ。そこに生まれる繋がりに、快楽を知る。唇は口づけるために、ある。舌は絡めるために、ある。乳房は優しさを与え、掌はそれを包み込む。波音に紛れて、淫らな水音が、二つの影の隙間から溢れる。奥へ、奥へ…射し込まれた熱が、夕子の顔を紅く染める。夜空に放り出すように、大きく開いた脚が重力を捨てて揺れている。二人の汗が、大きな波を呼び込もうとしていた…。


求め合って、与え合って、熱く焦がした肌を、真っ暗な海に泳がせる。
波間に顔を出し、唇を合わせる。
魚のように、二人。
裸のまま、海に漂う。
浜に脱ぎ捨てた衣服が、空虚な現実に見える。
月が低く落ち始め、海面に橙色の明かりを灯す。

罪を背負うか、罰を与えるか、愛することで迫られる選択がある。


 島を離れる朝。桟橋に夕子に姿はなかった。見送りに来た父も母も、変わらず小さく手を振り続けた。変わらないものが、ここにはある。変われないものが、ここにはある。ただ、朝一の中で変わったものがある。それは、夕子の中でも変わったものと同じであることは間違いない。それを確かめることは、二人にはできない。解き放たれた感情は、夜の海に流され、永遠の漂流を続けるのだから…。

(End)


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