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【青春 恋愛小説】

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1:1:1〜豊田早将〜-5

「え〜今告白を受けました、郡司佐和さん郡司佐和さん。至急放送室の成将君のもとへ来てください」
俺の後ろで成将は複雑な表情をしていた。
告白が全校に放送されて恥ずかしいのと、俺の勝手な行動を怒っているのと、今から一度フッて傷つけてしまった佐和が来る不安と緊張と…成将は今にも目を回して倒れそうだった。

それを俺は楽しんでみていた。

そして十分もしないうちに物凄い勢いで放送室の扉が開いた。
現われたのは息を切らし顔を真っ赤に染めた佐和。
同時に成将に目をやると、瞳を真ん丸にして驚いていた。

「成…早将…」
俺たち2人を確認すると、佐和の顔がくちゃっと歪む。
当然嬉し涙なんだろう…目からポロポロ大粒の涙がこぼれ落ちる。
佐和の涙に困惑する成将を俺は後ろからこづいた。
「抱き締めてちゅーの一つでもしたら?」
俺はにんまり笑みを見せる。

俺の手前勿体ぶる成将とは裏腹に、俺はすっきりした気分だった。
「佐和ちゅわぁ〜ん!泣いてちゃわかりませんよ?ほりゃほりゃ、成の告白に答えるべし!!」
そう言って俺はマイクの近くに佐和を連れていく。

佐和はゴクリと唾を飲んで涙を手でこすった。
「あた…あたしも、成将のこと大好きです!付き合い…たい…です」

後半また泣きだしてよく聞き取れなかったけど、成将をはじめ全校生徒がその返事を聞いた。
校庭の模擬店のテントから「おぉ〜!!」っと歓声が揚がった。

俺は自分が告白されたかのようにうれしくなる。そして真っ赤になって固まる成将をつつく。
「ほれ、早くだきしめるのだ」
「でも…」
「でももくそも無いわ!今抱き締めなかったら全校生徒に嘘ついたことになるぞ?一生ヘタレ呼ばわりだぞ?…ほら早くしろよ」
勢い良く押すと、成将はよたつきながら佐和の真前に行った。

「あ…佐和…」
ポーカーフェイスだが顔が湯でタコみたいな成将。
「〜う…」
目に手を押し当ててなんとか涙を止めようとする佐和。

俺は清々しい気分で2人を見つめる。
その清々しさは失恋で痛んだ俺のハートを癒してくれた。

「早ぁ…」
一向に距離をつめない2人。佐和はいきなり俺の名を呼んだ。
「あ?何?」
「成将に抱きついてもイイ?」
その一言に成は固まり、俺は吹き出した。
「いちいち許可とるなよ!いーよ、絞め殺す勢いで抱きついちまえ!!」
俺の言葉を聞くや否や、佐和は成に飛び付いた。

「バカ成将ー!何で最初っからそう言ってくれなかったのさ!!罰として一生はなさないんだから!!」

泣きじゃくる佐和はぎゅーっと成を掴んで放さなかった。
成もとうとう我慢できなくなったのか、佐和を優しく抱き締め返した。

俺はと言うと
2人が抱き合ってるところに駆け寄ると、混ぜて〜と言わんばかりに2人に抱きついた。


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