人妻の浮気心 (4)-3
正常位に移行する二人。熱り立った雄しべが、とめどなく蜜を溢れさす雌しべに突き立てられる。人妻の美脚はあられもなくぱっくり割られ、男をその中心へ迎え入れる。あぁ、これはキツい。さすがの私も目をそらす。愛する妻が両手両脚を他の男の首と腰にぎゅうと巻きつけ、唇を尖らせキスしている。もっともっとと言わんばかりに尻を揺らし、そのことを男に指摘されると「ぇへへ……」と媚び笑いしてまたキスをねだる。
「ゆきさん……」
「Yくん……」
名前を呼び合うだけでくすくす笑いが起こる。互いの額をつけ、鼻先を触れ合わせ、唇をついばむ。
「ゆきさんてさ、俺の気持ち、気づいてたの?」
「んーー、わかんない」
「ゆきさんもさ、俺のこと、実はちょっと気にしてくれた?」
「ふふふ……ナイショ……」
笑い合う二人。下半身はを静かに、しかし深く押し付け合う。ゆったりした性器の摩擦。
「今のゆきさんの態度見てると、俺勘違いしちゃうそうだよ」
ひいては寄せる波のように、静かにペニスの抽送を楽しむ男女。波打ち際からクチュリ、クチュリと潮が満ちる音が漏れ、黒く縮れた海藻が揺れている。あまりの汚らしさに心底うんざりする。この女は陰毛が濃い上に汗っかきで濡れやすい体質のためマンカスが多いのだ。不潔なマンカスもすえた臭いも、それが美女のものとなれば男は興奮しやはりさまざまな体液を分泌する。男女の性液は、激しく長時間に渡る性器の摩擦で泡立ち、さらなる淫臭を放つ。結果としてゆきのセックス動画では常に、ねばついた白いマンカス、チンカスが生い茂ったマン毛に大量に絡まるところを見せつけられる。
「ゆきさん、今日だけは俺の彼女になってよ」
「……ぅふふ。なに突然……」
「今日だけ」
「……」
「ゆきさん、大好きです。俺と付き合ってください……!」
「ちょっと……! 勝手に盛り上がって話進めないで」
おぞましい悪臭も、理性を失った男女には魅惑的なフェロモン臭として作用するらしい。くだらない提案に戸惑いつつも、どこか嬉しそうなゆきの様子に腹が立つ。
「今日だけ、今晩だけでいいから」
「……」
「浮気とか不倫じゃなくて……。恋人としての時間を過ごしたいです」
「……今日だけって、約束できる?」
「もちろん」
「私には旦那さんがいるんだから」
「はい」
「………………今晩だけだよ…………」
「ゆきさん……! ありがとう!」
「えへへ……なんか、恥ずかしいな……」
両手で顔をぱたぱた仰いで見せるゆき。
「可愛いなにその仕草! やばい、もっと好きになる!」
「大げさだよ、もう……!」
「耳まで真っ赤になった……! 可愛すぎる!」
人妻にキスの雨を降らすY。
「ゆきさんてさ、会社だとあんなにお澄まししてるのに、恋人にはこんな可愛らしい顔見せてくれる人だったんですね……!」
「もう……! そういうこと言うと彼女やめちゃうよ」
「か、彼女……なんといういい響き……」
「いひひ……」
「ついにゆきさんが俺の彼女に……あああ」
「不束者(ふつつかもの)ですが、よろしくおねがいします…………」
「ゆきさん……! それ、結婚初夜に言うやつ……」
「あれ…………?」
「あーー、また耳まで真っ赤に……!」
ゆきの口にむしゃぶりつくY。
「んんーー待って! やり直し!」
逃れようとYの背中に回した両手両足をじたばたさせるゆき。
「やり直さなくていいです……! んんーー大好きです、ゆきさん」
いつしか二人は激しく舌を絡めていた。下半身では長いストロークで深く繋がりながら、恋人としてのキスを繰り返す。耳をふさぎたくなるようなやり取りは続く。
「Yくん……」
「ゆきさん……」
「大好き……」
「俺も大好きです。ゆきさんのこと……ずっと見てました」
「ん……ゆきも……ゆきもYくんのこと好きだった……素敵だなってずっと思ってた……」
「そんなゆきさんと結ばれて……エッチできて嬉しい」
「ゆきも嬉しい……Yくんといっぱいエッチしたい……大好き……愛してる………はぅん……」
ついに一人称が「ゆき」になってしまった。妻が完全に男に気を許したときのサイン。さらに追い打ちをかけてくる。「ちょっと待って」と言って左手薬指から指輪を外し、ポーチにしまうゆき。
「えへへ……初めて外しちゃった……」
「ゆきさん……」
「これでゆきは完全にYくんの彼女……」
「ゆきさん、可愛すぎます。一生愛し続けます」
「ゆきも……Yくんのこと一生愛し続ける。大好きだよ、愛してる……」
目を潤ませ尻を大きくゆっくりくねらせている。両手はYの頬に添えられている。輝きを失った左手薬指でYの唇をなぞる。
「誰よりも? 一番俺のこと愛してくれる?」
「うん、誰よりも……世界で一番Yくんのことが好き!」
「ぁああゆきさん……! たまらないよ、幸せすぎる!」
「ゆきも幸せ。Yくんと愛し合えて幸せです……!」
「幸せすぎて我慢できない……ゆっくり動いてるだけでイキそうだよ、ゆきさん」
「いいよ、来て……」
「こんなに早くイッちゃっていいの?」
「嬉しいの……Yくん、何度もゆきの中で気持ちよくなってくれるでしょう……?」
「そんなの当たり前です」
「そんなことないよ……一度だけの人もいるから……」
「ゆきさん相手に一度だけなんて……」
「それに気がついたら終わってたり……ふふふ」
「それって……もしかして……」
「うふふ……ごめんね、ちょっと思い出して愚痴っちゃった……Yくんの彼女なのに……」
ゆき、ゆき――。
「ううん、言ってくれて嬉しいよ。この際何でも吐き出して」
「ありがと」
「俺なら……ゆきさんを満足させられるかな。分かんないけど、精一杯愛してるし愛したい」
臭すぎるセリフにふっと口元を綻ばせるゆき。