プラネタリウム-1
寂れたアパートの一室
四畳半の小さな部屋
今日からは、ここが自分の城になる
そう思うと、少し嬉しさが込み上げた
とはいえ、荷物が届くのは明日
何もないこの部屋は少しさびしい
「あ、そうだ」
確か、リュックに入れて持って来た本の中に、科学の本があったはずだ
「あれ」の作り方が載ってるかもしれない
「こんな時しか出来ないからな……あった」
予想通り
書いてある
「えっと……桐の板と豆電球とソケット……あと電池ケースとスイッチ……接着剤と電池はある
あとはケント紙……
カッターとキリはあったかなぁ?」
材料がたくさんいるな
まぁ良いや、金ならある
持ってたゲームやらなんやら売ったからな……
「多分、ドンキとしんぷくで揃うな」
買いに行くか……
ふぅ
疲れた……
「なんとか揃ったな」
さて作ろうか
「まずは――」
プラモとは違うな
簡単に出来た
まぁ、それが良いのか
「これで良いかな」
一応、天体の本を持ってて良かった
配置を良く再現出来たと思う
「そろそろ電源入れよう…」
スイッチに手を伸ばした時、少しイタズラ心が湧いた
『新しい星を加えたい…』
完璧主義者の俺にしては、大胆な考えだ
早速キリを使い、新しい星を創った
この星にも名前が要るな……何が良いかな
あ
思い付いた
「はは……未練たらたらだな……」
新しい星
付けた名前は
キミの名前……
電源を入れると、四畳半の小さな部屋は宇宙に変わった
「レグルスに……北斗七星……スピカ……うん、綺麗に出来た…」
どの星も綺麗だ……
でも
一番綺麗なのは、スピカの隣りで輝いている……キミ
背伸びをすれば届く位の高さしかない天井の隅で、何よりも輝いてる
この星は逃げない
逃げないよね?
本当のキミのように
消えてしまわないよね……