(後日談)馴染みパン屋のミレーユ母娘-1
1
アキダホ・アマゾネス第三駐屯地村はパトロールコースで、カプリコンの整備も兼ねて定期的に立ち寄る基地になっている。解放前にパトリシア(メインパイロット)が囚われていた元ゲリラ村という立地で、当時からの友人知人も多いという事情がある。
パン屋(工場)のミレーユは、パトリシアの姉貴分のようなもので、ゲリラ男(反乱で虐殺されて死亡?)との間にできた小さな娘がいる。サブパイロットのセラともすっかり打ち解けてしまっていて、必ず滞在中に行き来する間柄になっている。
その日も、セラは整備ドッグから焼きたてのパンを買いに行った。まとめ買いすることもあって安く割引してくれたりもする次第。
「ミレーユ、今は主任の親方と奥にいるよ」
店番の小麦肌の若い娘がニヤニヤして言う。彼女もまた、かつてこの場所でゲリラたちに囚われていて、偶然の反乱で自由を取り戻した一人だった。
ドアの隙間から覗いて、セラは目が点になった。
知識はあっても経験はない。
しばし動けなかったところを、背後から子供に呼びかけられて、ギョッとして慌ててドアを閉めた。
ミコはまだまだあどけない、少女とすら呼べない子供。ミレーユによく似ているのは娘だからだ。
「セラぁ、どうしたの?」
「あ、うん。ママはお仕事中みたいだから」
「そうなの? 「あーあー」って言ってた?」
セラは素朴な疑問に、とっさに誤魔化す。
「パンの焼き加減が変になりそうみたい。それで慌ててたみたいだから、邪魔しちゃまずいわ」
そうして、小娘ミコの手を引いて、遠ざける。
五歳にもならない女の子に「ママはお取り込み中」だなんて、さすがに言えない。母の生々しい現場を見せるのは無理があった。
そして店頭のカウンター脇にある飲食スペースで、席に座って、頭を撫でてやる。これも主要な目的の一つでもあるのだった。
「はい」
暇潰しに色鉛筆で書いたイラストを見せてやる。
「これ、動物?」
「そう。ウサギ」
そうして、昔に図鑑で読んだウサギの生態や、おとぎ話のことなんかを話す。
この小さな娘は、セラと境遇が似ていた。父親が顔も知らないゲリラなのだ。しかも優しい母親や良い隣人のお陰でどうにか救われているのも同じ。あながち他人事には思えないし、ミレーユ母娘が無事にささやかな幸せに暮らしているのを見ると何だかホッとする。
この子もいつか、自分自身の意味を理解して悩むかもしれないが、そんなときに自分とのことを思い出すかもしれないともセラは思う。「セラ姉ちゃんも同じだった」と。この子のための将来の準備や支えとかだけでなく、ひょっとしたら逆に自分自身の心理的なセラピーや代償行為にもなっているのかもしれなかった。
2
因果でやっかいな女体だった。
毎日のように集団で犯されていたため、嫌々ながらすっかり環境適応で淫乱になり、たまには男を咥えないと鬱屈してしまう。しかも年代の年頃でも性欲ボルテージが上がっていく一方ときていた。
幸いにも、相手には不自由しない。ゲリラ村で虜囚だった時代からの関係のある男が何人もいるのだから。本日もパン焼き親方のナセルが溜まってそうだったので、ちょっと素振りを見せたら年甲斐もなく。
「ふうっ、うっ、うう、ふゥ」
ミレーユは事務机に捕まって後背位でヒップから挑まれながら、切なく「ふうっ」と濡れたため息を吐く。
めくれたスカートから出た生尻のくぼみに、いきりたった男の雄渾が潜りこんでいる。グイッと押し込まれると、「あっ」と甘く色っぽい声が出てしまう二十半ばの女ミレーユ(子持ち)。
無骨な手で桃尻を撫でまわされ、その行為だけで爛熟した淫欲のフェロモンが血と汗に流れだす。発情した蜜襞の筒が蠢きながら、貪婪な愛の唾液で男にしゃぶりついている。自分の指で快感の真珠ボタンをまさぐって、ヒクヒクと懊悩する女体の秘奥をさらに火照らせていくのだった。
「もっと突いて。中まで欲しい」
ドスっと重く深いストロークを迎えて、わななく唇と喉から悦楽の喘ぎが汽笛のようにほとばしる。
「あっ、いいっ! ううふぅ、あ、ああっ」
バスバスと柔らかな尻果を交尾運動で打擲され、男の猛った欲情を叩きつけられるたびに、くねる乱れ腰と背筋が生々しい歓喜の惑乱に悶えていた。茹だつような姫貝は貫かれてあぶくを白い腿から膝近くまで垂らす始末。だらしないほどに濡れ、子宮から胴震いする。