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惨酷メカ(裏):凌辱のガラパゴス/ゲリラ村の虜囚日記(ケータイSF愚弄小説・18禁)
【SF 官能小説】

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カンガルーとポコチン戦車(完)-1

1
 そんなときだった。
 あの大型の「野良ウォーカー」がゲリラ村に迷い込んで、攻撃を仕掛けてきたのは。カプリコンという名前のタイプで、戦時中にはガラパゴス・グレートに次ぐクラスの大型準人型兵器でもあったそうだ。それらは全長二十メートルで、中型のキャンサー型の倍近く、州軍閥のプロメテウス二足歩行戦車やガバナー歩兵型より背丈が高い。
 ちなみに野良ウォーカーとは戦時中から徘徊している遺物で、人工知能で好き放題に歩き回って、破壊と殺戮を繰り返す「災害」や「危険な野生動物」のようなものだった。現在の世界が再建困難で衰退している、ゲリラの大勢力分立以外でのもう一つの理由でもある。
 けれども、思いもよらない展開になった。

(パトラ! 近寄ったら危ない!)

 既に生きる希望を失った相部屋の妹分のパトリシアが、夜の「お勤め」でほとんど裸のまま、フラフラと近づいていってしまったのだ。
 背後から呼び止めようとしたが、間に合わない。
 野良ウォーカーの胸部の機関砲が火を噴いたときには、恐ろしさに目を閉じた。きっと殺されてしまったと思ったからだ。けれども薄目を開ければ、パトリシアは無事で、周囲のゲリラ兵士たちだけが挽き肉になって転がっていた。
 そうこうしているうちに、パトリシアがその大型ウォーカーに乗り込むのが見えた。ちょうどゲリラ村の秘密兵器であるガラパゴス・グレートが現れたところ。

(戦うの?)

 ミレーユは周囲を見渡し、パイロットが搭乗前に撃ち倒された「カンガルー型」が目にとまる。小型で五メートルそこそこの高さしかないが、手助けくらいできるかもしれない。いくらあの大型ウォーカー(カプリコン)が強そうでも、たったの一機だけでは分が悪いし、ガラパゴス・グレートだけで精一杯だろう。
 幸いに、ウォーカーそのものは普及している世の中なのだ。ミレーユも小型のものの操縦くらいはどうにかなるし、カンガルー型は過去に経験があった。しかもゲリラ仕様であるせいか、武装や装甲も強そうだ。


2
 カンガルー型でピョンピョン進みながら、他のキャンサー型やカンガルー型を、備え付けの機関砲で不意打ちまがいに撃ちまくる。とにかく、ギリギリの戦いをやっているパトリシアに攻撃させるわけにはいかないから、囮半分で暴れまわるしかない。中型や小型でも、集中砲火されたら大型ウォーカーでも危ういだろうし、パトリシア自身もそこまで熟練していない。
 もしもパトリシアが負けたら自分もゲリラに殺されるだろうけれども、乗りかけた船だった。どのみちこのままでは未来に希望もないのだし、親友の妹分を見捨ててまで生き延びたいとは思えなかった。

「えええええいっ!」

 胸の中で何かが爆発して、燃えているようだった。
 自分がここまで戦えるとは思っていなかった。
 パラパラと防弾ガラスで弾が跳ねたが、人間が手持ちで仕様するライフルくらいでは、コックピットのキャノピーを貫通できない。
 こちらにロケット砲を構えようとしているゲリラ兵士に気づき、慌てて銃撃して自爆で爆発させる。間一髪で肝が冷えたが、それどころでなかった。

(パトラの邪魔なんか、させない!)

 立ちはだかるゲリラ兵士は、対人マシンガンで打ち散らし、ロボットアームのナイフで切り飛ばしたりもした。ナイフとはいえ、人間にとっては大型の剣と変わらないサイズだったし、駆動力が機械のアームだからひとたまりもない。撫で斬りのように千切れ飛ぶ。
 途中で、パン焼き上司のナセルに出会う。目を見開いて口をあんぐり開けていた。

「どうしてあのとき、私を撃たなかった?」

「ナセルさんは、いい大人で子供の兵士にも良くしてたでしょ? それに「役に立つ奴隷」を殺すなんて」

 見逃したナセルは、あとで電子足輪付きでパン工場の主任になったのだが。


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