カンガルーとポコチン戦車(完)-2
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それからカンガルー型でミレーユが進んでいくと、アリス・リーがアサルトライフル(どさくさで奪った?)でゲリラ兵士と銃撃戦していたので、瓦礫の陰の敵に機関砲を連射した。
アリスが叫んでいる。
「通信室だ! 応援を呼ばないと!」
どのみち、このままでは一時的に勝っても、すぐに巻き返されてこちらが皆殺しにされかねない。近くの別のゲリラ村からも敵の応援が来るかもしれない。
ミレーユは、アリス・リーと通信室を目指した。
背後では、パトリシアがガラパゴス・グレートを踏んづけて踏みにじっていた。
4
二時間後には、パトロールで近くにいたイヌノフグリ(プロメテウス二足歩行戦車)が二台駆けつけてきた。
「大丈夫かな? たった二台だよ?」
心配は杞憂だった。
近くのゲリラ村の応援のウォーカーを、ドラフト・ホバークラフトしながら次々撃破したのは壮観だった。
「チンポコ戦車、強いじゃん!」
女たちは敵の残党兵士に銃撃しながら笑った。
イヌノフグリはそのコミカルな外見と裏腹に、強力なジェネレーターを搭載して機動力が高く、両腕にビーム兵器を装備している。州軍閥に配備された最新バージョンの強化型は高性能だし、パイロットの技量も高い。
「私さ、はじめてアレが可愛いとかイイって思った」
「アレって何さ?」
「おちんちん」
イヌノフグリことプロメテウス二足歩行戦車の男性パイロットは、騒ぐ狂躁状態の女たちに出迎えられて、困惑しながら経緯の説明に耳を傾けていた。
そして以後のこのゲリラ村は「アキダホ・アマゾネス第三駐屯地村」に生まれ変わったのだった。