ゲリラ村、良心の女囚たち-3
5
エビ釣りにされたアリス・リーの、足の間にまわる。
恐ろしいことに、足膝を広げてくる。
「ちょっと! どこに押すつもりなの!」
「ここンとことだよ!」
「や、やめて、かはっ!」
赤く焼けた烙印が、もっとも脆い会陰の粘膜に押しつけられる。小さいとはいえ、悶絶するほどの苦痛だった。失禁してしまう。
「うぐおおおぉおおおおぉぉ! あー! あー、あっ!」
絶叫が、特別調教部屋の石壁に反響する。
カメラで恥部の溝に刻まれた呪いの傷の出来栄えを撮影される間に、涙が頬を伝わって流れ落ちる。
(神様、助けて下さい!)
舌を噛み切ろうとして、制止され猿ぐつわされる。
それから輪姦されて、バッチリ撮影される。
(鬼畜どもめ! いつかぶっ殺す!)
最後にはみんなで小便をかけられながら気絶した。
6
「ほんとにやるの?」
「うん。もう、こんなの、生きていけない」
アリス・リーは大股開きで、相部屋のサユキに処置を頼む。同性でも気恥ずかしいうえ、哀しい要件で。
会陰のハングル烙印を、ひとまず別の記号に改竄する。小さい炙った鉄片を押しつけたとき、「ひっ!」と強く目をつぶる。サユキが「痛いの飛んで行け」とペロペロ舐めてから、消毒してくれた。
「せめて日本語とかだったら、まだジャップ男にでも話してちょっとでも同情してくれたかも。チャイナ居酒屋かホステスでもやって、愛人の二人や三人くらい作って儲けられたかもなのに! ハングルとか、あいつら!」
涙目のアリス・リーはもう一回サユキに痛む股間を舐められて「うひっ」と鳴いた。
7
そのころ、パン焼きのナセルは深刻な問題に悩んでいた。普段から専属スタッフのミレーユから、妊娠した可能性を告げられたのだ。
彼女はまだ若くて有用だが、赤ん坊は?
泣きながら「売らないで」と頼む娘のような、蓮っ葉な愛人のような彼女。本人が悪いわけではなかったし、どうにかして助けてやりたい。
そのためには、もう一つのことを諦めるしかない。
無謀な脱走を企てている少年兵のことだ。ミレーユの相部屋の娘のパトリシアを誘っているそうだが、十中八九は途中で捕まって殺されるだろう。
やがて、苦悩の決意を固めたナセルは椅子を立つ。
その少年兵のことを諦めて、相部屋の娘の命と、ミレーユの子供のゲリラ村での養育を、上級士官に掛け合ってみるしかない。あの少年にも警告はしたけれども、半ばは破れかぶれで聞くとは思えなかった(しかも既に感づかれて、リンチされるのは時間の問題だった)。
「ミレーユはよくやってますし、上の士官の方たちもあの医者の女先生に子供を産ませるんでしょう? 下っ端どもの子供も産ませたら、みんな喜ぶし、良い遊び相手になるでしょう。それにあのガキも、しょせんガキですから。ちょっと懲らしめるだけで十分ですし、しつけに耳でも片方削いで、うちのパン焼きの手下にするくらいで」
ナセルは土下座で懇願した。
ミレーユの子供とパトリシアは善処・助命されたけれども、逃亡を目論んだ少年兵はリンチで殺された。