4日目-1
何かが…触ってる…
顔に…唇に…
柔らかい…
えっ?
「あ、やっと起きた」
ももちゃんが、僕の顔を覗きこんでいた。
「もう…お兄ちゃん、何回キスしても起きないんだから」
キスで起きるって…僕は白雪姫か?
ももちゃんのキスは、うれしいけど。
「ほら、シャワー浴びてきて。シーツ洗濯するから」
ももちゃんは、僕を追いたてた。
自分を見ると、裸のままだ。シーツには、ゆうべの染みがついている。
昨夜は夢中だったが、朝になって見ると、けっこう恥ずかしい状態だ。
部屋にはすでに、いくつもの洗濯物が、ぶら下がっていた。
「ももちゃん、今日、何時に起きたの?」
「4時だよ」
「えっ?早すぎない?」
「だって、今日から旅行だよ!楽しみで寝てられないよ!」
そういえば、僕も子供の頃は、遠足の前などワクワクして寝付けなかったが。
でもこれは、ただの遠足じゃない。
今夜ももちゃんは、女の子の大切なものを失うのだ。
彼女は、どこまでわかっているのか…
僕がシャワーを浴びた後。
「お兄ちゃん、これどう?」
着替えを済ませたももちゃんは、僕に披露した。
ボーダー柄のタンクトップと、デニムのショートパンツ。
ピンクのキャップを被り、髪はポニーテールにして、キャップの後ろからピョコンと出ていた。
夏らしい、軽やかなファッションだ。小さくてもスラリと伸びた、健康的な手足が眩しい。
「いいね!すごく可愛いよ!」
「ありがと!お兄ちゃんも早く着替えて」