2日目-1
「お兄ちゃん!起きて!」
目を開けると、ももちゃんの笑顔があった。
ゆうべは寝不足で、しかもソファーで丸まっていたから、身体中が痛い…
部屋の時計を見ると…8時35分…えっ!?…ヤバい!遅刻だ!
慌てて起き上がる。
ももちゃんは朝から元気だ。
「ねえ、わたし朝ごはん作ったんだよ!一緒に食べよ」
えっ?そんな事してくれたのか?でも時間が…
「あ、ごめん…もう行かないと…」
彼女の顔が曇った。
「そっか…お仕事だもんね…」
それが、あまりにも悲しげで…
「いいよ。食べよう。僕も一緒に食べたいし」
「ホント!?」
顔がパッと輝く。
どうせ遅刻だ。あとで会社に電話しよう。
ももちゃんが作ったのは、フレンチトーストと、ベーコンエッグ、コーヒー。
「美味しそうだね」
「がんばって作ったんだよ。食べてみて」
しかし…
フレンチトーストは激甘…どれだけ砂糖入れたんだ?
ベーコンは焼きすぎで噛みきれない。
玉子も焦げている。塩が多すぎる。
ももちゃんは、僕の顔をじっと見ている。
「どう?おいしい?」
「うん、おいしいよ」
「よかった!」
キラキラした笑顔で喜んでいた。
コーヒーを飲んだ。…メチャメチャ苦い。
きっとももちゃんは、普段コーヒーなんて飲まないから、豆の量が分からないんだ。
まあ…僕のために頑張ってくれたんだ。その気持ちだけで、うれしいよ。