2日目-5
「ももちゃん、すごいよ!ありがとう」
「キレイになったでしょ?」
誉められたももちゃんは、素直に喜んでいた。
料理より掃除の方が得意なのは、間違いない。
「ホント、掃除上手いね。約束通り、オムライス作るよ」
「先にシャワー浴びて。待ってるから」
昨日の事を思い出した。
「わたし先に浴びちゃったから大丈夫だよ。ゆっくり洗ってきて」
今日は、あんな事は無さそうだ。いや、それが当たり前だろう。
実際、その日の浴室では何事もなかった。
「おいしい!お兄ちゃん、お料理上手だね!びっくりしたよ」
ももちゃんは、喜んでオムライスを食べてくれた。
こんなに素直に喜んでくれると、僕も素直にうれしくなる。誰かに誉められるなんて、随分久しぶりだ。
ちょっと照れるけど。
ももちゃんといると、灰色だった僕の生活が、カラフルに変わっていく気がした。
「ありがとう。誉めてくれたのは、ももちゃんだけだよ。まあ、僕も独り暮らしが長いから、自然に上達するよ。」
「ずっとひとり?お兄ちゃん、カノジョいないの?」
「いたよ。前にね。でもこんな話し、やめようよ」
楽しい思い出じゃない。避けたい話題だ。でも、ももちゃんは容赦ない。
「ダメ、もっと教えて。別れちゃったの?どうして?」