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惨酷メカ:バーチャル・カプリコン、と芋掘りレジスタンス村娘(ケータイSF愚弄小説・18禁) ※第一部完結?※
【SF 官能小説】

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(特別編)お猿になった女たち/残酷姉妹-2

2
 しかし、無敗に見えた「山の人猿略奪団」にも、天敵はいる。
 それは「村の女たち」に出くわした場合。
 まだ少年兵や子供には手加減してくれるのだが、女同士である上に過去の罪と恨みがあるのだから、猿女たちに発砲した事例もあるようだ。
 最悪は、物資輸送の手伝いや護衛に、あのカプリコン一号機がついていた場合。何しろパトリシア(パトラ)とセラであるから。

「このバカな女ども、そんな子供にまでバカなことをさせて! どうせ嘘や悪いことを教えたり、思春期の多感な男の子を色仕掛けで騙したんでしょ! ほら、さっさと降伏しなさい!」

 パトリシアはプンスカ怒ってスピーカーから怒鳴りつけながらも、どこか優しさがあった。
 あいにくセラはさらに容赦がない。腹部の補助コックピットから安全帯をつけて身を乗り出して、ライフルで射撃し始める。もしもパトリシアが止めていなかったら、本当に一人や二人は平気で撃ち殺していたかもしれなかった。
 それからセラの姿を認めたメス猿の一匹が叫びながら拳銃で応戦していたことも、特筆すべきだろうか。酋長スタイルの格好からするとリーダー格の一人のようだったが、何か確執があったらしい。お互いに射撃はあまり得意でなかったのか(セラは愚弄目的でわざと当てなかった?)、死傷者は出なかった。

「おーい、チンポコしか能がない発情したオスガキども! 私は優しくない! とっ捕まえて、生きたまま猫にキンタマ齧らせてやる! それが世の中のため! バカな女はバラして肉に混ぜてやろうか? お前らみたいな土人ども爆弾首輪でプランテーション農業で死ぬまで鞭打ってやる! 文明人様の凶暴さを舐めてるんじゃあない!」

 セラがスピーカーで叫ぶと、恐怖して逃げていった。
 その日の輸送物質の被害はゼロだった。


3
 セラがまた、カプリコンの腰部と背面デッキに犬をアップして、ご満悦の昼寝していた。仰向けのモフモフな胸に顔面まで埋めて幸せそうなので、パトリシアもそのままにしておいた。

(いいか。どうせそろそろお風呂しようと思ってたし)

 ドラム缶風呂で訊ねたら、幼い頃の夢を見たとか。
 近場で密告で掴まったスパイ工作員の「車裂き」の見せしめ処刑があったときに、どこか他人とは思えない数歳年上の少女に出会ったそうだ。一目で「お互いを似ている」と感じ、セラ自身も「きっと見知らぬ姉か何かだ」と直感したらしい。
 人だかりで見えにくかったのを、安物の双眼鏡を貸してくれ、抱き上げて見えるようにしてくれたそうだ。おそらく相手もセラを「もしや母親違いの妹でないか?」とでも思ったのか。
 ちょうど罪人は手足を引っ張っていたバラバラになり、股間の破れた陰嚢から睾丸がはみ出していた。

「どう?」

「足の間から変なのが飛びだしてる。小さなウズラの卵みたいなのが、紐みたいなのでぶら下がってる」

 どこか東アジア風の容貌の、セラによく似たその年上の少女チェルシーは朗らかに笑った。
 当時はまだセラは幼く、同じゲリラの父親が産ませた「母親違い」ということにまで考えが及ばず、自分も「残忍なアジア人」の血を引いていると固定観念を持ったとか。

「アハハ、傑作だな! 脚を引っこ抜かれたついでに、男の急所が破れたか。もう用済みの嘘つきな屑だけど、口封じついでに売り飛ばしたら金になったよ」

 別れ際に「一緒にくる?」と訊ねられて「ママが待っているから」と断ったそうだ。無理にセラを拉致しなかったのは、さすがに「母親違いの妹かもしれない」と思って情が湧いたのかもしれなかった。
 立ち去り際に咎めた衛兵を刺殺し・射殺し、手近な小型ロボットウォーカーを奪って、通行人を虫ケラのように蹴り潰して逃走する姿は「最高に格好良かった」そうだ。たった一度の邂逅で、セラの人格形成の上で決定的な影響だったのかもしれない。
 セラは母を苦しめ、村人の敵であるゲリラのことも激しく憎み、無法ゲリラの一員であろう見知らぬ父親のことも嫌っていたが、「姉だったかもしれないチェルシー」は少し別で「私にも力や才能がある」と自己肯定したきっかけだったらしい。


4
 後に人猿山賊団も「降伏受理」され、近隣の州軍閥から村人グループの「辺境の村落自治体」として認定されたそうだ。他の悪質ゲリラに比べれば所業がマシだったため、無理に討伐するよりその方が合理的だったらしい。
 それで泣いて喜びながら「村落記念」の写真をアップロードしていた。パトリシアと友人のミレーユなどは、お祝いに打楽器のドラムと散布用の半野生ハーブの種子と業務用コンドーム(段ボール数箱)を贈ったそうだ。
 やっと文明の世界に帰ってこれて、良かったね。


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