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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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人妻の浮気心 (2)-2

 美人妻のマスターベーションは激しさを増す。ゆきは寝室に入り、クローゼットに忍ばせてあるディルドを手にとった。市街を眼下に望む窓ガラスにディルドの吸盤を貼り付け、デニムを膝までずりおろす。尻を突き出し湿り気を帯びたショーツの上から亀頭を割れ目にあてがう。尻をくねくね動かし、布地越しの大陰唇へディルドを押し付ける。誰かに見られるかもという緊張感と羞恥心で頬は紅潮し、ショーツの染みは広がるばかりである。

 腰の動きは速くなる。
「Yくん、挿れて……」
 昨日の昼休み、公衆便所でそうしたように男性器に向かい尻を突き出しエッチなおねだりをする人妻。
「Yくんのおちんちん、ゆきのおまんこに挿れて……」
 ショーツの生地が破れてしまうのではないかというほど、すでに亀頭の半ばはゆきの花びらに埋め込まれている。
「ゃだ……焦らさないで。ねぇ、早く挿れて……大好きなYくんのおちんちん、ゆきのおまんこに早く挿れて……」
 夫への裏切りの言葉を吐くほどに興奮は高まっていく。

 八年前、不倫という事実に押しつぶされそうになりながらもやめられなかった。もう終わり、今回が最後と思いながら、一ヶ月に渡りYと関係を持ち続けた。
 よりによって当時、夫とは完全にセックスレスだった。夫への愛情は変わらないし、正直なところ性欲はあったのでオナニーはしていた。ところが一人目の妊娠以降、夫とのセックスだけがおっくうになり、二人目を出産してからは夫婦生活がまったくのゼロになってしまった。
 そんな自分が、夫からの遠慮がちな夜の誘いを断り続けているその裏で、職場の若い男と男女の行為に明け暮れた。夫とは絶対にしたくない行為を連日受け入れた。Yとならセックスしたい、抱かれたいと思ってしまう我が身のおぞましさに吐き気がしたが、ふとしたときに考えるのはYとの性行為だった。彼の男性器を口に含みたい、熱い精液を下半身の一番奥で受け止めたい――。

 Yとは、オフィスや公衆便所という場所柄からかショーツを穿いたままでのセックスが多い。下着を脱ぐ時間すら惜しみ陰茎の挿入を求める自らの姿が羞恥を煽り、Yはそんな恥ずかしい自分を見て興奮してくれる。愛液、カウパー液、唾液、汗、そして精液、二人の愛の印である大量の体液でショーツがびしょ濡れになる。午後の仕事中、濡れて冷んやりしたショーツを感じるとゆきはYとの行為を思い出しまた股間を熱くする。

「Yくんのいじわる……。ねぇ、ここだよ。ゆきのおまんこ見える? ゆきの臭いまんこに、Yくんの生チンポ早く挿れて……!」

 かつてDやFに教え込まれた卑猥なセリフは今でも口をついて出てくる。夫とのセックスで危うく言いそうになり慌てて口をつぐんだこともある。Yとするときもこんなことは言えない。自らの中に潜む二面性を夫が知ったら、どんな顔をするだろう。意外と興奮してくれるのかもしれない。しかしYの名前を連呼しているのはまずいだろう。
 Yと一線を超えてしまった八年前、自己嫌悪に苛まれながらせめて今後は夫の夜の誘いを受けようと考えたこともある。夫と心を通わせる緩やかなセックスが大好きだった昔の自分に戻りたかった。ところがYと身体を重ねれば重ねるほど、夫には抱かれたくないと思ってしまった。汚れてしまった自分の心と身体が夫とのセックスに反応してくれるか、もはや自信がなかった。

 ショーツのクロッチ部分に指をひっかけ、愛液で粘ついた股間の布地をぐいと横にずらす。尻たぶを両手で掴み左右に開く。指に熱い体液が絡みつき、腿をとろりと伝う。
 のどかな休日の午後、窓外の平和な町並みに向かい、人妻は大きな尻を突き出した。

  *

「本当だよ。本当に何もしないからね」

 ホテルに誘われたとき発したあの言葉が、思えば最後の砦だった。あのとき自分の言葉を守れていれば、夫への罪悪感にも我が身の「狡さ」と「緩さ」にも苛まれずに済んでいたはずだ。それなのに――。

 ラブホテルのロビーで部屋へ上がるエレベーターを待っているとき、ゆきは後ろから抱きしめられた。
 このぐらいなら、と思ってしまった。
 このぐらいなら、手を繋ぐのと変わらない。
 このぐらいなら、「何もしない」の約束を破ったことにはならないはず。
 自分に言い訳しながらYの抱擁に身を任せた。彼の匂いと息遣いに、胸を高鳴らせた。

 エレベーターに乗り込むなり、唇を奪われた。
「Yくん……んん、何もしないって約束……」
「『部屋では』何もしません。約束は守ります」
「ん、んん……そんな。部屋じゃなければいいの……?」
「そういう約束ですから」
 Yのご都合主義が、ゆきには嬉しかった。
「そうだっけ……ほんとに……? ほんとにいいの……?」
「はい。今ならキスしても約束破ったことにはなりません。安心してください」

 今だけなら大丈夫なんだ、よかった。部屋に入るまでなら。エレベーターの中だけならキスしても大丈夫。
「んん、ん……んん……ん……! んちゅぅ……」
 そもそもここはラブホテルなんだし。誰にも絶対バレないし。そういうことしてもいい場所だよね? いやいや旦那さん以外の人としちゃだめでしょ。あぁ、でも気持ちいい。嬉しい。大好き。ああ、もうエレベーター着いちゃう。降りたくない。この瞬間が永遠に続けばいいのに。
「ちゅぅ……ちゅ、ちゅぅ……んん、ちゅう……」
 パパごめんなさい、本当にごめんなさい。今だけだから。少しだけだから。部屋に入ったらもう何もしないから。パパだけの奥さんに戻るから。

 本当だよ。本当に何もしないからね、パパ――。

  *

 その夜、ゆきとYはラブホテルの一室で朝まで一睡もすることなく、セックスをした。
 Yの熱い精液はゆきの顔に、口に、そして最後には膣の中、子宮の中にまで、何度も何度も繰り返し注ぎ込まれた。


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