Perfume-19
――――――既に地下室の空間は男女の身体から発せられる”熱気”と“濃密な香り”で満ち満ちていた。
地下室の隅に置かれた花瓶の中で、赤・青・白・紫・ピンクの薔薇が辺りに独特の香りを発しつつ咲き乱れ、
それぞれの花弁の中央はベットの上で絶頂に達した後に姿勢を変えられたセリスの姿をじっと見つめている。
(この薔薇の・・・・・薔薇の香り)
先程まで両手首を固定していた拘束が外され、支えを失った上体を密着してきた男の腕で抱き止められながらセリスはぼんやりと考えていた。
乳首を吸われ、自らの“薔薇”の中をかき混ぜる動きに身を委ねるセリスの鼻腔を擽るのは、
自分の汗や蜜の香りではなく、汗混じりの男の体臭でもない。
室内に満ちた濃密で甘い“薔薇の香 り”。
いつしかベットの上に横たえられ、新たな拘束を加えられているのがわかってはいても。
手首・足首に新たな拘束ベルトが取り付けられ、そこからベットの4隅の骨組みから伸びる伸縮性の革紐に繋がった。
黒いストッキングに覆われた両足は膝をやや曲げた状態で足を広げた格好となり、濡れそぼった金色の繁みが露になっている。
両手を大きく広げた状態、いわば大の字でベットに横たわる中で胸元を晒していた。
管理人の方も、セリスの拘束を変え終えてから自らのズボン、下着やブーツを取り去っていた。
ベットに横たえられたセリスの位置からは、彼女が本能的に求めている肉棒の姿は死角になっていて見ることはできない。
しかしベットに上がろうとしている男の分厚い胸筋と微かな脈動は、ぼんやりとした視界の中でもはっきり分かった。
そしてセリスがようやく自らの意識を取り戻した時には、彼女の両足の間に位置した管理人の肉棒が蜜に溢れた“薔薇”の中を軋ませながら侵入してくるところだった。
――――――ジュ、ズジュ・・・・・
「!! んはぁっ!!」
蜜によって抵抗は小さくなっている筈だが、それでも繁みを掻き分けて“薔薇”の入り口をかつてなく広げてくる圧力に、セリスはのけぞりつつ目を大きく見開いていた。
――――――ズ、ズ、ズ・・・・・・
「あ・・・・あ・・・アッ・・・・」
「この、潤いに・・・・この締め付け・・・・・」
「こんなの・・・・って・・・・」
「たまらないだろ・・・・?」
――――――ズ・・・・ズ・・・・ッッ
こうしてセリスの薔薇の中をかつてない肉の密度が支配していった。
「しっかり食らいついているのに・・・・潤いがあって、熱いとは」
「か・・・は・・・・・・」
「こんな絶品は・・・・最近いなかったな・・・・・」
感嘆混じりの呻きを発しながら腰を前に進めてくる男を、セリスは抗うように歯をくいしばりながら凝視した。
「あの女性も・・・・」
「・・・・・ん?」
「こんな風に・・・痺れ薬で、連れ込んだの?」
男の口許に、セリスがこの日初めて目の当たりにすることになった笑みが浮かび、僅かに開いた口許から微かに歯並びが垣間見えた。
「・・・・ああ、午前中に来ていたのか。あれは今日で3回目だ。確か・・・そう、最初は自分から小屋に来たんだよ・・・・今のあんたのように」
―――――ズ、ズズッッ・・・・・
「んはっっ!!!」
肉棒が“薔薇”の最奥をひと突きするや、セリスの背骨を刺激の波が電流のように伝って彼女の神経を揺さぶった。
「最初の女はさっきみたいに薬で連れ込んだんたったが・・・・それからは噂が広まってくれたお陰で・・・黙っていても、寄ってきてくれる」
「クっっ・・・・ここはまるで、獲物を待つ・・・クモの巣、だったのね・・・・」
突かれながらもセリスの口から吐き出される皮肉に、管理人は逆に煽られたようだった。
「その結婚指輪・・・見たところ、人妻のようたが」
「え・・・・っ」
「今からは、ご主人のことは、忘れさせてやるよ・・・・っ」
―――――――ズンッッッ・・・
「あはぁぁっっ!!!」
2度目の大きなひと突きに、
セリスは開かれていた両掌を握り締め
吐き出した一声に合わせ、その肢体を大きく震わせた。