Perfume-12
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―――――ザッ、ザッ、ザッ、ザッ・・・・
(こんな時に限って自分がいないなんてな・・・・まだ薔薇園にいてくれればいいんだが)
当初の予定より少し早めに帰邸し、執事から自分を訪ねてきた“金髪の女性”の特徴を聞いたアウザー。
その女性が向かった先と思われる薔薇園への道を足早に進みつつ、アウザーの口から落胆のため息が自然と空中に吐き出されていた。
アウザーが最後にセリスと身体を重ねてから相当の日数が空いているとは言え、彼女の無駄のない肢体や滑らかな肌触り、そして“薔薇”の味わいは未だに色褪せることなくアウザーの脳裏にこびりつき、その手や指が未だにそれらの感触を記憶している。
今回セリスが自邸を訪ねてくれたのは、彼女もアウザーとの時間を求めてきたのではとの期待を抱きつつ、
アウザーは自身の運の悪さに正直地団駄を踏みたい気分だった。
―――――アウザーが薔薇園に着いた時、昼下がりの時間帯よりも人の姿は数えるほどであり、
ぐるりと薔薇園の中を一周してみてもセリスらしい女性の姿は影も形もない。
(・・・・流石に帰ってしまったか)
半分以上予想通りの展開ではあったが、やはり一縷の望みを抱いていたせいもあり落胆の色を隠せないアウザー。
何気なく管理人が住まう小屋の前まで来た時、アウザーはそのまま入口のドアを叩いていた。