(過去後編)白馬の騎士は放浪の殺戮メカでした-4
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「やっちゃえ!」
カメラが潰れて視界の悪い方向にいやらしく回り込むステップは、まるで洗練されたボクサーのようだった。
グレート・ガラパゴスが牽制に、四門の機関砲を一斉に乱射したけれども、もうそこにカプリコンはいない。
身軽さを生かしてジャンプし、空中で一回転した遠心力の足で、飛び蹴りであった。
さすがにたまらず片膝突くが、すぐに大型短距離ビームの左手を突き出してくる。当たれば中型や大型ウォーカーでも中破大破を免れない灼熱の鉄拳だったが、カプリコンはヒョイと身をかわして、小脇と腕で押さえ込む。さながら東洋武術の投げ技のように、相手の勢いで振り回すように投げ飛ばす。
うつ伏せ倒れたところに飛び乗って、さながら踊るように、一方的にグチャミソに踏みにじる。いかに相対的に軽量とはいえ大型ウォーカーであったから、全体重をかけたジャンプ踏みつけで連撃されれば効く。
じきに動きが断末魔じみておとなしくなったところに、ナックル・クローに雨嵐。情けも容赦もあったものではなかった。鋼鉄の殺意が炸裂だった。
とうとうコックピットから逃げ出した敵パイロットたちの背中に機関砲がオート照準される。パトリシアが引き金を引くと、一瞬で血煙になって蒸発してしまう。
「やった! 殺した! 殺してやったんだ! イヤッホウ! 嬉しい! あんたたちが死んで嬉しいですッ! 地獄に落ちやがれ!」
パトリシアは狂ったように雄叫びしながら、まだ逃げずにいるゲリラ兵士を撃ちまくり、車両を蹴り転がし、コカ畑を火炎放射器の立ち小便で焼き払う。
液晶ディスプレイの片隅では、コカ畑からの魔界の毒煙でラリった女たちが、野性の本能のままにゲリラ兵士の死体を損壊して食い散らしたり跨がったり、さらには踊り狂い叫んで歌い、強欲全開で金品をかき集める奴もいる。無礼講の宴会カーニバルで飲んだくれ、少年兵士たちと乱交して、自由と解放の歓喜に絶頂していた。
7(後日談)
それで「帰る場所がない」人たちは、その後。
あの盗賊ゲリラ村は立地が良いものだから、そのまま州軍閥の傘下の村落連合の要塞になった。
コカ畑は大部分が焼き払われたが(作付けが変更されて麦や野菜が生産されるようになった)、一部で「医療用」の大麻なども栽培されている。あの哀れなゲリラ少年兵士の墓も、他の犠牲者との合祀で作られた。追悼碑には「人間は罪や悲惨を免れないが、負の連鎖こそが一番恐ろしい」などと、もっともらしいことが書かれている。
ミレーユはそのまま要塞村でパン屋の運営スタッフになって、現在に至っている。パトリシアはセラと一緒に、まとめて焼いて貰ったパンを袋で購入する常連の一人でもある。ミレーユの小さな娘はセラにやたらと懐き、将来の夢は州軍に入ったり、ウォーカーのパイロットになりたがっているのだとか。