芋掘り娘の恋人(プロローグ?)-1
1
想像してご覧、二本足の鋼鉄戦闘メカが戦時中から大量放置されて、自動操縦で徘徊している世界を。行政や経済と治安が崩壊してヒャッハーな時代、理不尽と不条理と略奪・暴力でレイプや乱交あるのみ。
どれだけ家や工場を建てようが畑を作ろうが、暴走野放しの鋼鉄戦闘メカと山賊に踏み荒らされて終わり(まともに大規模な建設的・生産の活動はほぼ不可能)。
たまに徘徊戦闘メカの人工知能が「オールキル(皆殺し)」設定になってきて、出会ったが最後で乱射殺戮されて終わり。
さらに人間権力者同士の争いも激しくて対処せず大部分が放置されているし、太陽光発電なので終わりなく稼働し続け自己修復機能もあるため(コンピュータ制御の自動修理工場まで)、誰も止められない。
2
想像してご覧、二本足歩行する「歩く電信柱」のような巨大ロボットの頭部コックピット。もし転倒でもしたらどうなるか、パイロットがどうなるか容易に想像つくよな?
電信柱のようなロボットの頭部コックピットは常に恐怖だったが、「何故か倒れてもめったに死なない」。まるで魔法でもかかっているのか謎のテクノロジーなのか、せいぜい気絶するくらいの場合が多い。
やたらと豊富な半分野生の芋や野菜を掘り、野生化したヤギや豚・羊を狩りする、狩猟と採集の生活に逆戻り。おそらく世界破滅前後に賢い誰かが準備してくれたらしい。味方グループのテリトリーの縄張り内部では、適当に肥料を撒いたりしているから、粗末ながらにも農業と畜産のようなものだ。
ロボットと環境世界も、かなり謎で理不尽ではあったものの、破滅以前の世界の落とし物。そのおかげで彼らは生活できている。「芋掘りレジスタンス」の村々が。
3
彼女の「男」は電信柱ロボットだった。
よくある発掘品の掘り出し物で、偶然に生体認証出来ただけだが、「もう彼女の言うことしか聞かない」。一番に忠実な恋人で、ほとんど恋愛感情どころか欲情と偏執狂的な思いを抱いている。
よく、頭部コックピットの中でパンツを脱いでいる。
腹部コックピットの相方の娘はレズビアンだ。
二人は今日は特に機嫌がいい。
たまたま山賊ゲリラの男をつかまえ、巨大ロボットの鋼鉄の指と手で握り殺してやった。過去の残酷な経験からしたら、感情だった。
両脚は引きちぎって、背中の台にのせた。
晩御飯の食肉にするために。