『今更な事』-1
「何を今更。」
…きっと私には、こんな役割しかできないから。
女っぽく貴方に振る舞うなんて、私の性格上、無理なんです。
そのうち貴方には、暖かくて可愛らしい人が現れるだろうけれど。
私はそれでも、貴方に必要とされれば貴方の背中を守ります。
銃を片手にいつも、貴方の背中を見守るのが私だけの役目ですから。
私にしかできない、特権だと…そう思いながら。
決して私を女だからと見くびらない貴方の、そんな所も、やはり私は好きなんです。
あなたの前では、女である前に一人の部下、一人の軍人なのですから。
女として見られていない、などという事は、もう…気になりはしないんです。
軍人である私を、部下である私を、女として見るような貴方なら、私はここまでついて来る事はしなかったでしょう。
…ですからどうか、貴方は貴方のままでいて下さい。
私が命を懸けてお守りしようと決意した、そのままの貴方でいて下さい。
前を向き続け、貴方の姿勢を貫き続ける貴方でいて下さい。
…私の事など、どうぞお気になさらずに。