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本能とアポトーシス
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本能とアポトーシス-1

本能は生きろと叫ぶ。

いつも如何なる時も。
生きる。
何のために?
君の指示は受けたくない。

意識が芽生えだしたのは何時からだろう?
私は細長い三角形の形をしていた。
水中をゆらゆら。
信号はただ、
「生きろ」と点滅していた。

チカチカと目障りな私の内部の光。

水温は次第に暖かく……
季節の移り変りを教えてくれる。
私は次第に成長し、ちっぽけな三角形もみるみる伸びていった。
ただ
正体の掴めない不安。
私は何者なのか?

知る述はない。

それでも
本能のおせっかいな信号に反応しながら
ゆらゆら揺れていた。

ずっと揺れていたかったんだ。

居心地よさをかんじるようになった。

慣れは恐ろしい。
次第に私が何者かなど気にもならなくなりつつあったから。

ちょうど私の三角形の底辺あたりに違和感を感じるようになった。
新たな成長。
激しく動く何かがそこにある。
しかも両側に。
それから
私のフィールドは水面だけではなく
大地へも広がった。
裏側につっつく砂や石がこそばゆかった。
運動量も増える。
世界が広がってゆく。

音のない空間に慣れ親しんできたが、ある日。
音色を聞いた。

ゲロゲロ…。

単調は反復する旋律が何かを伝えようとしていた。
その時、考えもしなかったものを……

時が少し傾斜を上げて流れはじめた。

カラダに違和感を感じだした。
透明になっていく感覚。
麻痺。
振動。

いつもの本能は急かすようにサインを送り続けていた。
そう
いつものサインを。
「生きろ。」
と急かすサインを。

ところが、
ある日それは……
反転した。

それは死のプログラム。
「死」を促すサインを出してきた。
不必要なものを切り落とすシステム。
運命。
私は闇に消える運命。
サインは速度を増して
死神の鎌が私の底辺を狙う。
自殺システム。


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