知ってしまった父さんの内緒-3
次の日、私は学校帰りの途中に紙やさんを訪ねた。
(ありゃ……?)
紙やさんのガラス戸に、古びた錠前がおろされていた。
ガラス戸から中を見ると、店の中にはあかりがついている。
(外から鍵かけとるんやから、ノックしてもしゃあないなぁー)
と思っていると、私は背後から誰かにガラス戸に押さえつけられた。
「もぉー、」声がした。「アンタみたいなよく来る客がおるから、ワタシ店から離れられへんねん。」
私が紙やさんに行くといつも店番をしてるお姉ちゃんだった。
お姉ちゃんはガラス戸の錠前を開くと、私を店の中に押しこんだ。
そこには昨日の夜、父さんと入った時と同じ配列なのに、顔ぶれがまるで違って見えるノートや筆記具があった。
お姉ちゃんが言った。
「ほんで、きょうは何がいるのん?」
「魔法鉛筆、六本ちょうだい。」
【おしまい】