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『新編・辺境の物語』第一巻 カッセルとシュロス 前編
【ファンタジー その他小説】

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【カッセル守備隊】-4

 
 女は寒々とした寝台に横たわっていた。

 私は誰・・・
 断片的に記憶は残っているが、覚えていることといえば・・・
 ベッドに縛り付けられ、天井の眩しい照明を見ていた。しばらくすると深い眠りに落ちた。目が覚めると右手と左足にギプスが嵌められていた。自分の物ではないように重く感じた。
 何日かして連れて行かれたのは、石やレンガの積み重なった廃墟だった。ぽっかりと開いた穴倉に突き落とされ、稲妻が光り、風が吹きつける暗闇を彷徨い・・・気を失った。
 気が付くと、この寝台に寝かされていた。助けてくれた人たちの話では、地下牢に倒れていたということだった。
 
 包帯を取ってみると、右手と左足には蓋があり、その中には歯車のような部品と、それを繋ぐ金属線が埋め込まれていた。
 これを見られてはいけない。
 私は普通の人間ではないのだ。


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