お日さまが沈むまでに-1
秋の風が吹きはじめたころ。
k校の帰り道、駅へ向かうしょう太の前にひとりの見知らぬ少女が立ちふさがった。
進学校として知られるk校の制服を着こんだその少女は、しょう太に近寄って腰に手をまわすと首筋に唇を当て、舌を軽くチロチロと動かした。
しょう太はその舌の動きで、少女が誰であるのかを知った。
「ママ?」
▽
しょう太は、ちょっとした実業家であった父親がだいぶ年齢を重ねてから、若い妻と結ばれて授かった子どもであった。(二人とも初婚だった)
が、しょう太のc学入学を待たずに、父親は魂だけの存在となった。
しょう太の母親あき音は、しょう太が幼いころから自分の若い性欲を満たすために、「しょう太はママの可愛いツバメ」と性的な戯れに引きこんでいた。
そして父親のいない後は憚る(はばかる)ことなく、しょう太の性器をしょう太がくぐった洞(ほら)に導いていた。
あき音は自分の愛した男の心を継ぐ、しょう太以外の男に性欲を傾けられなかった。
そしてしょう太は自分の性の目覚めを優しく迎えいれるあき音を喜ばせることで、自分の快感をいっそう高めていた。
しかし、しょう太と性を結んだ日々は短く、あき音もまた魂だけの存在になった。
しょう太は、父親の事業の一部を継承したあき音の妹と暮らすことになった。
そんなしょう太の前に、あき音はしょう太と同じ年頃の女の子の身体を借りて現れはじめた。
それは、あき音の性欲の強さゆえになしえたワザであった。
▽
しょう太とあき音は、急ぎ足で駅前の雑居ビルに向かっていた。
「ね、」少女の身体を借りたあき音はしょう太に言った。「今日のママ、どう?」
「うん……」しょう太は答えた。「マジメ一本、って感じのコだね。」
あき音は言った。「このごろ電車の中の女の子たち、スマホに夢中だからなかなかしのびこめないのよ。ひさしぶりに居眠りしてるコがいたから乗りこめたわ。」
「ひさしぶりって……前から十日くらいしか経ってない気がするけど。」
ふたりは一室の前に立った。しょう太がドアにつけられた10キーの番号を押してドアを開いた。
そこはもともとしょう太の父親が、隠れ書斎として使っていた場所だった。
「ねえ、しょう太……」中に入るとスマホを操作しだしたしょう太の下半身を脱がせながら、あき音が言った。「早くセックスしようよ。でないと私、太陽が沈んだらこのコから離れなければならないのよ。」
「ちょっと待って、ママ。」しょう太はメッセージを作成していた。「あのひとにここを使うこと知らせとかないと、侵入者扱いされると困るから。」
「あのオンナ……」あき音が室を見回して言った。「だんだんここを自分のコレクション部屋にしていくな。」
そこにはあき音の妹の趣味である、美少女のフィギュアが並ぶ棚があった。