家族。他人。演技。-2
涙が流れるのに気付いた。
母に気付かれないように拭いすこし俯き話し掛けた。
「迷惑かけてごめんね…」
母は泣きながらか細い声で答えた。
何度もごめんねってつぶやいていた。
無事でよかった。
本当よかった。
安堵から涙腺が緩くなり、景色が滲んだ。
迎えは姉が車を走らせてきてくれた。
わざと明るく振る舞う姉。
家までの距離が重く感じられた。
また振り出しに戻るのか…
家に着くと父はもう寝てしまっていた。
つまらぬ喧騒から逃れられ一安心。
母を寝かせ、自分の部屋に戻る。
家族って何だ?
愛って絆って…
信じられなかった。
結婚というカタチに縛られて縛られて二人は幸せなのかと考えているうちに眠りについた。
朝起きて居間に行くと…
仲良く語らう父と母。
これだから世の中はわからない。
話を聞くとぼくが寝てから父が寝ずの看病をしたらしい。
笑い泣き喧嘩して仲直り。
こりゃ当分おさまりそうもないや。
ぼくは思わず苦笑する。