地下鉄で愛しい幽霊と情交した少年(後編)-3
5
アヤは積極的に跨った体勢のまま、まるで飢えたように蜜口にあてがう。捲り上げたスカートの裾からその光景はリクにも見えた。
猛り膨れた亀首は、艶やかな叢の濡れた淫裂へと咥え吸い込まれていく。
「うっ、ア!」
微かな喜悦の声音を喉から漏らし、一気に体重ごと尻を沈めて自ら貫いていた。牝の分泌蜜のせいでほとんど抵抗すらなく。
「は、入ったぁ! リク兄ぃ」
アヤの顔は女の勝利感と幸福で輝いたようだった。
ずっと欲しかった念願のもの、物質的愛情の極致を手に入れた歓喜のオーラが出ている。
しかし本来は挿入「して」いる側のはずのリクは、それどころではなかった。
(うわっ、なんだこれ!)
勃起した初物の陰茎を熱い姫筒の肉襞が包み込み、飲み込もうとするかのようだ。
目の前で自分の雄渾剛直が女の恥部を屈辱的なまでの無作法で貫いているのにも関わらず、さながら女から蹂躙されているかのような気分だった。本来なら征服感でも感じるかもしれないシチュエーションであるのに、かえって降参ものなのだから困る。
あまりにも強烈な快感に、リクは情けない顔で直感的に白旗を揚げる。
「すぐ、出そう」
嘘ではなく、ほんのちょっとした弾みで射精が始まってしまうことは自分でわかる。とっくにちょっとばかり精液の雫が流れ出している気もする。
困っているのはむしろ兄の方で、妹アヤの方は純粋に感動しているようだった。
「そんなに、気持ちいい? 私のナカ、そんな気持ちいいの?」
「うん。すごい」
きっと言葉に嘘偽りないことは蕩けた男のだらしない表情で筒抜けなんだろう。
柔らかな体重と肉感で押さえ込まれた腰周りまでが痺れてくるようだった。
するとアヤは目を煌かせて覆いかぶさるように、優しく唇に唇を重ねてくる。それだけでなく舌で割り開いて、下半身の仇討ちとばかりに口の中までを犯してくるのだった。彼女自身もリクの初々しい反応に歓喜してさらに欲情を昂ぶらせたのだろう。
「ん、ふ、んン」
押し付けあう唇から漏れる吐息さえ、酷く官能的でくすぐったい。
リクは全身が急に敏感になったようでゾクゾクし、それこそ頭が真っ白になってしまう。
一方のアヤは余裕の表情で、交合する愉楽を堪能しているようだった。わざとあまり動かずに、そのままの繋がった状態で胎内に収めた異母兄の急所を感じ取ろうとしている。
「おっきい」
そんな嬉しげな言葉が微かに喘ぎ漏れたようだった。
たしかに最大限にまで張り詰めていたし、案外にアヤはもっと幼い頃の兄しか知らないのかもしれなかった。お互いを求める切実な気持ちは変わらないのかもしれない。
哀れで愛しい感情が胸の奥から沸々と湧いてくるようだった。たとえこのアヤが自分の知らない彼女でも、それでもこの彼女が限りなく愛しい。
そうこうするうちに愛液の温度はリクの玉巾着までを潤していた。
「どう、出そう?」
目元を秋波で潤ませながらアヤが囁く。
わざとピストン運動をせずに刺激を押さえ、それで長く持たせて姫倉に破裂しそうな鉄杭を咥え込んでいる。しかも抱きつく格好で密着しているのだから、彼女としても、それでもって自分自身の女の良さを兄の肉蛇と身体に教え込みたい魂胆なのかもしれなかった。
さっきからリクにはずっと危うさがあって、熱と細かい震えが下腹でわだかまるようだったけれども、少しは慣れて感覚が鈍って今少し耐えられそうだった。
「けっこう、キツイ」
「だったらナカに出していいよ」
そんなふうに耳元で囁いて、アヤは腰を優美に動かし始める。ピストンというよりは廻すような、探りながら舐めねぶるような腰使いだった。どうやら激しい運動の刺激よりも、兄のカタチと射精そのものを確かめる魂胆らしい。
もはや抵抗は不可能だった。
亀頭が肉の軸まで痺れてきて、愛液に浸った陰嚢から下腹の奥にまで快感が侵食する。
「も、無理」
喘いで女の子のような切なげな声を上げてしまった兄に、アヤはまた口づけをする。腕を腋の下から背中に廻して、あやすようにしがみついてくる。
すぐ目の前では薄目を開いたアヤの顔がウットリとしていた。
抱きしめられ受け止められながら、急に股間で拍動が弾けたように精液が噴出すのがわかる。およそ止めたり我慢するなど問題外で(それまでにもジワジワ漏れ出していた)、異母妹の茹った蜜壷へと初物の白子汁を漏らし、注ぎ込んでいく。
子種を迎えて飲もうとするかのように子宮が降りてきているようだ。少しばかり蜜筒が震えていたのは、彼女自身も軽いアクメを覚えていたのかもしれない。
もしも普通ならば妹への膣内射精などヤバイ以外何物でもないはずなのだけれども、そのときは普通でないシチュエーションのせいもあって、そんな懸念は吹き飛んでいた。
ただ相思相愛での無上の悦楽が達成されただけだ。
牡の力を搾り取られて呼吸を荒げた兄に、アヤは天使のように微笑む。
「どう? 私良かった?」
逆に労わる彼女は、まるで全てを赦し受け入れるかのような女神の表情だった。