宇宙の彼方から-1
かつて、宇宙にばら撒かれた「月(Moon)」と呼ばれる怪物たちがいた。
それは命なき巨大な岩石に似て、惑星の生命から孕んだ悪意を隠しながら、衛星軌道上を物理運動に周回しながらたしかに生きていたのだった。共鳴する感覚器官である「マーカー」と呼ばれるオベリスクが彼らを目覚めさせる。未来の可能性、生命の兆候のある惑星に衛星として寄生虫のように付き添い、やがてマーカーの工作・変成作用は惑星上に生まれ出た高等生命(人間など)を「ネクロモーフ」と呼ばれる不死身の怪物に変質させ、最後には目覚めた「月」が全てを捕食する「収束」と呼ばれる破滅の結末をもたらす。
通称エンジニア(技師、3冒頭では失業・飲んだくれ)ことアイザック・クラークは、赤く輝く奇怪なマーカーが生み出したネクロモーフ(怪物化したゾンビ)や、マーカーを崇拝する狂ったユニトロジスト教団(「収束」を救済と考えるカルト集団)などとの戦いを三度に渡って繰り返してきた伝説的な「マーカー・キラー」。アイザックは地球防衛軍最終部隊(自称)の特殊部隊戦闘員レイモンド・カーヴァー軍曹たちと、ユニトロジスト教団との宇宙人遺跡のテクノロジー争奪戦の末、最終決戦で遠い宇宙の「月」の復活を封じた。
しかし仮初の勝利と引き換えに、アイザックとカーヴァー自身もまた、消息を絶つ。
「俺たちはここで死ぬ。しかし地球は明日を得るんだ!」
だが、願い虚しくも、彼方の月の悪意の覚醒は地球にも危機をもたらす(なぜならば「月」は一つではなく、地球の月も同類なのだ)。目覚めた月の悪意により、ネクロモーフとマーカーを載せた宇宙船が地球に向かっていたのである。
一方、アイザックはカーヴァー君と共に、地球圏へと奇跡の生還を果たすのだが。