昼寝と必然-4
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「スッキリしたでしょ?」
サエはこの上もなく優しい笑顔で最愛の少年の頭をかい抱いた。
そのまま下半身は裸のままで抱き倒し、腕枕に抱きしめて横になる。
「ありがとうね、玲君」
その声には感謝の思いが滲んでいる。
溜め込んだ過去への積年の未練から解き放たれて救われたようなものなのだろう。
玲だって、生前に会ったことがない父親とサエの男女関係はそれとなく知ってはいる。
「ちょっと、お昼寝しましょっか?」
サエの言葉は、どうやらこれで終わるつもりの意図を孕んでいる。彼女としては玲を最後まで完遂してしまうのに抵抗もあっただろうし、これまでの玲との親密な関係を大事にしたい気持ちも強かったらしい。
玲も一瞬はそんな気になりかけたが、それで収まるものでもなかった。
グイッと上からのしかかって、まだ官能の余韻で熱くなったままの膝の間に割って入る。
「あ、ダメよ! こ、これ以上は!」
驚きがちに躊躇いの声を発する唇を、再び唇で塞ぐ。少し精液の味らしきものがしたけれど、構うものか!
「んっ、んっ!」
もがく素振りを見せるサエを強引に押さえつける。
「「覚悟しろ」とか言ったくせに」
「あ、あれはノリで!」
「あんなので終わりだなんて、俺は親父の記念品じゃない。俺がサエさんと!」
性欲の暴走だけでなく、ここまで来ると亡き父親への対抗意識もなくはない。
ちゃんと自分の「男」をわからせてやらないと気が済まなくなってもいた。
「ねえ、玲君? やめようよ?」
なお躊躇うサエにまどろっこしさを感じて苛立つ。
「こんなにしてるくせに!」
玲は手を滑り込ませて濡れたままの秘所を愛撫する。あの後に牝貝からさらに溢れ出した愛蜜はビッショリとぬかるんでいる。本心では欲しがっているのは明らかだ。それなのに往生際が悪く、それで少し怒ったような声になってしまっていた。
そのくせサエはまだ抗弁する。
「無理矢理はダメ、そういうの、レイプって言うんだよ?」
そんなに建前が大事なのか。
「だったら、レイプでも何でもしてやる。 サエさんは嫌? いいでしょ?」
二秒ほど間があって、サエは「嫌じゃないけど」と擦れそうな声音で切なげに呟いた。
「レイプなんかじゃなくって、私が「抱いて」ってお願いするの。でも玲君、これは将来の「練習」なんだから、あんまり深く考えないでね。玲君はいつかちゃんと素敵な人を見つけて」
最後の最後まで玲を気遣っているのがいじらしい。
(初めてがサエさんで良かった)
どう考えても最高の初体験のようにしか思われない。
「サエさんにチンチン挿入れたい」
「うん。玲君の初物の試運転、私なんかで良ければ」
力任せに抱きしめた女体は肉感に満ちて柔らかだった。太っているというほどではなくとも、たぶん母のアヤと比べてもふくよかだろう。それにサエの場合には運動を好んで筋肉があるせいで、引き締まって目方もあるようだ。
何よりも胸板の下で圧し潰れる双乳の量感と弾力が、男と違う女体を実感させるし、開かれた内腿はしっとりと柔らかく挟み込んでくる。半分だけ服を脱いだような裸で密着して抱き合えば、熟れた餅肌のまとわりつき沈んでいくような感触は逃れ難い魅惑だった。