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ドッペルゲンガーの恋人/過去からの彼女(官能オカルト連作短編)
【幼馴染 官能小説】

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曲者策士な母の企みで?-7

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 母とは違う、もう一つの懐かしい味だった。
 だから玲からすれば、サエに夫も子供もいないのが、今でも理解できないほどなのだ。

「サエさん、泊まってくでしょ?」

 もし何事もなかったとしても、今日はこのまま彼女にいて欲しいと感じてしまう。
 性欲以前に慕っていることもまた事実なのだった。

「そうね。一晩泊まらせて貰おうかしら」

 組んだ手の上に顎を乗せ、サエは「困った子め」という温かな微笑で、クスクスと返事をする。それから少しばかり考えて言った。

「とりあえず、シャワー借りて良い?」

 ひとまず着替えはしても、汗は取れていないのだ。
 神妙に頷く玲の頭の中の葛藤なぞは、とっくにお見通しだったのだろう。サエさんは「ミルカと遊んであげて」などと、親切ともイジワルともつかないことを勧める。

(覘きに行こうか、風呂場に乱入してやろうか?)

 そんなあらぬ不穏なことを思い考えつつも、それでも馴染みの柴犬と遊ぶのが嫌なわけでもない。むしろ可愛い、犬、犬。
 ミルカとて、心がある。しかも牝の動物本能なのか、玲が性的に昂ぶっているのを感じ取って調子を合わせたのだろうか。いつもよりも甘え方に節操がないような気さえしてくる。とはいえ彼女のあくまでも「犬」な瞳の不思議な輝きには、先代のミルキー氏の小柄ながらに友愛精神に満ちた「ドンとこいや!」の面差しと重なる何かがあった。
 十分、十五分くらいそうしていると、背後から湯上りの香りがした。
 振り返るとサエさん。借した玲の洗いざらした部屋着Tシャツとハーフのジャージパンツだけを身につけて、下は何も履いていないのだろうか。汗まみれの下着をそのまま身につけるとは考えにくかった。

「ご満悦ね、ミルカも」

 腹を出して寝そべった柴犬のことだ。
 潮時を悟った玲は台所から持ってきて、ミルカに犬用ガムを与えてやる。
 サエさんはヒソッと玲に囁いた。

「どうする? 一緒にお昼寝でもする?」

 玲は無言でサエの手を引っ張って自分の部屋に連れて行く。朝からまだ、カーテンを開けていない。そして歩くたびに、腿の付け根で男の部位がジンジンしていた。


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