谷元真美・柴本綾-2
全日本選抜では2人が激戦を演じる種目が多かった。2人が感じたこととは?
−−400m、800m、1500mと自由形長距離は2人のワンツーで谷元の2勝1敗だった。
真美「800と1500は私が勝ちましたけど、いつものレースとは違う感じがしました。800はいつも以上に楽に泳ぎ切ったって感じだし、1500は逆に綾ちゃんといつも以上に競ったし。あと、4フリ(400m自由形)は綾ちゃんがいつも以上に速く感じました」
綾「水着に早く身体が慣れたからだと思いますよ。真美さん、800の時は400みたいに身体がキレてて最後に脚が入ったらもうついていけなかったです。400は私の方が逆にキレたから勝てて、1500は水着が充分馴染んでいつも以上に真美さんと競れたかなと」
真美「最後の2フリ(200m自由形)のスパート、見ててびっくりした」
綾「1500泳いだ後なのに脚に乳酸がたまっている感じがしないし、ハイレグで足回りが殊の外楽に動いていることが実感できたなって」
−−全日本選抜で使った水着についてどう思う?
真美「高校に入ってからハイレグワンピースを着ていなかったですけどやっぱり自分にはぴったりだなって思いました。オープンウォーターでウェットスーツが必要なとき、インナーにハイレグタイプのショーツをはくことがありますけどその時よりもキックが楽に、長くできた気がするんです。全体的にピタッとした方が動きやすいから私には向いているのかな。水着はもちろん持ち帰って練習でもう使っています」
綾「私は中学からハーフスーツを着ていたので全日本選抜の時に使ったハイレグだとお尻のあたりが食い込んで泳ぎにくかったです。特にスパートかけて足を入れるようなときは気になりました。800の後の2バタ(200mバタフライ)は食い込みが気になっていたせいかいつも以上に疲れました。でも、どうしてかわからないですけど、何回も使っているうちに自分の身体が水着に馴染んできた感じがしましたね。私も練習で時々使うようになりました。胸の方はDカップなのであまり締め付けを感じなかったです」
−−柴本は女子で最多となる5種目、予選と決勝で合わせて10レースをこなした
綾「3日間で10レースというのは経験ありますけど、今回ほど疲れた3日間はなかったです。水着に身体が馴染むのに時間がかかることもあったし、経験のないレース展開が何回もあったし。何より貴重な経験ができたと思います」
真美「綾ちゃん、いつも以上に格好良かったなぁ」
綾「だからだ!1500の後におっぱいタッチしたの!」
真美「綾ちゃんと毎回のように良いレースができたし、綾ちゃんだけのレースも格好良かったからおっぱい触っちゃったんです」
綾「ご機嫌だとこうなるんです」
所属の垣根を越えてお互いを高め合っている2人が見つめている先にあるのは?
−−2人とも大きな大会で代表になったことはないが、世界選手権やオリンピックについてどう思っている?
綾「長距離でもバタフライでもチャンスがあれば狙いたいですね。でも、まだ世界に手が届くレベルにはないので、今は練習を重ねるだけです」
真美「競泳でもオープンウォーターでもチャンスがあれば狙いたいです。年齢的には綾ちゃんよりもチャンスは少ないかと思われていますけど、小林日菜子さんみたいに40歳になっても世界へのチャンスは狙っていきますよ。あと、オリンピックや世界選手権以外でも世界を狙っているんです」
−−何を?
真美「ウィンタースイミングです。日本でやっている寒中水泳と違って湖とか海に短水路のプールを作って普通の競泳のようにレースをするヨーロッパで盛んな競技です」
綾「フィンスイミングとかオープンウォーターとか、真美さんはやりたいと思ったことを何でもやる人だなと思いますけど、ウィンタースイミングなんて聞いたことないので真美さんがどんなことをするか想像つきませんね」
真美「You Tubeをみて興味を持ちました。氷が浮いているような水に普通の競泳で使う水着を着て入って泳ぐのってどんな感じなのかやってみたいんです。それに、レースに出ている選手は日本のメーカーの水着を着ていないみたいなので、日本のメーカーの水着を私が着てウィンタースイミングに参加したいという思いもあります」
−−計画は?
真美「ウィンタースイミングのシーズンは日本の短水路シーズンとぶつかるようなんですけど、これまでも競泳とオープンウォーターとフィンスイミングと両立してきたので何とかなると思っています。一番盛んなのはフィンランドで、たくさんの種目をこなしても泳ぎが変わらない凄い選手がいて彼女に弟子入りしようかなと、彼女が所属するクラブに英語でメールしました」
綾「英語のメールの書き方を何日か前に教えましたけど、このことだったんですね!
返事は?」
真美「まだ。でも、自分でできるような練習はけっこうあるし、これまでの応用をしていけばある程度のことはできると思うので練習しながら待つつもりです」
−−柴本のこれからの計画は?
綾「とにかく、国内トップレベルに上り詰めて、『柴本しかいない』と思われるようになりたい。そのためにはまだ優勝したことない日本選手権で1種目でも良いから優勝できるようにしたいです。そのために練習をひたすらしていくつもりです。これは競泳もオープンウォーターも同じ。真美さんも口には出さないけどそういう思いがあるので負けないように頑張ります。それと…、真美さんの話を聞いているとウィンタースイミングって、オープンウォーターや競泳にいろいろ応用できる気がしたんで、高校の卒業旅行代わりにフィンランドにウィンタースイミング留学するのもありかなって思ってきました。あとでYou Tube見せてくださいね」
真美「うん、綾ちゃんも多分はまると思うよ」