腹上死ハネムーンの花嫁(最終話)-6
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医療保険は適用されないし、部分的に自由診療扱いにするのは、厳密には違法行為になってしまうかもしれない。しかも認可が下りていない上に、本来の用途とは異なる使い方でもあるのだから、リスクがあることは否めない。
だからリョウと莉亜が勝手にやったことにすることにした。
病院側からすれば一文の得にもならないのだけれども、医療での責任リスクを負うことを思えば、正式に処方するよりも参考サンプルストックに入手してあったものを勝手に使われたことにする方がマシである。
「僕が勝手に盗んで莉亜と遊びで使ったことにします」
それがリョウの決断だった。
病室で二人きりになってドアに鍵をかける。
そして莉亜は着物のような病院服の下半身を捲り上げて、リョウに脱がされてパンティを脱ぎ捨てた。
「恥ずかしいよ。やっぱり、座薬だなんて」
そんなことを言いながら、莉亜はとっくに目が潤んでしまっている。
こんなことをさせるだけでも、家族か好きな相手にしか許せない行為なのだ。立て膝に細い脚を開き、汗ばんだ陰門と菊穴をご開帳するのは痴態でしかない。
「ごめんなさい、こんなことさせちゃって。でも恥ずかしいから、早くして。あんまり見ないで」
物珍しげなリョウの眼差しに莉亜は頬や耳まで真っ赤になった。
「汚いから、ジロジロ見たらダメ」
「チンコまで挿れたのに?」
「だってぇ! それとこれとは違うし」
拗ねたように声を高くする莉亜の恥じらいが可愛らしい。
思い起こせば、こうして彼の目に女の最恥部を真正面から見せ晒したことは数えるほどしかない。触るのを許したことは何回もあるものの、こんな具合に見せることだけはずっと拒み続けていたのだ(下の毛の処理もしてない!)。前回は嫉妬で気が狂いそうになった弾みでやらかしてしまったものの、あとで恥ずかしくなって一人で悶えた。
莉亜は病身で衰えていることを気にしてもいたし、汗や尿の臭いで汚れたままで十分にきれいでない意識があったものだから、女として最後のプライドでずっと意固地になっていたところがあった。そもそも陰毛の処理もしていないのだから、たとえ男が興奮するにしても、顔や乳房などと違って美しい部分とは彼女からすればあまり思えないのだ。
ただでさえ撫でる空気の流れが冷ややかでくすぐったいのに、大好きな男の子の目線が舐めてくるだけでも莉亜はチリチリしてきてしまう。
「顔近づけるとか、勘弁してよ」
「こうしないと、ちゃんと入れられないでしょ?」
「だけどさ」
「ほら。脚開いて、力抜いて」
リョウが懲らしめとばかり、陰毛の隙間に顔を出す姫豆ボタンをクリクリと突き弄る。姫貝の蜜口からは愛のよだれが、上の口からは情けない悲鳴が漏れる。
「うひっ! ああ、もうっ!」
「でも興奮してるんでしょ?」
悪戯な指でそっと一関節分だけ差し込まれ、それだけで達したみたいに膣筒がキュッと締まる。搾り出された牝の分泌エキスがトロリと肛門にまで流れる。
「ちょうど良かったんじゃない? 無理矢理入れたら痛いでしょ?」
「バカ。言っとくけど、これはただの生理反応でこうなっただけだから、エッチなこと考えて濡れたのとは違うし」
言ってしまってから莉亜は「しまった」と思う。あまりにバレバレだ。
その押し問答の間中、莉亜は降伏ポーズで周知に悶え、ついには手で顔を隠してしまう。
「そうなの?」
「そうよ」
発情してしまった牝性器を指で優しく捏ね回され、調査しながらマッサージされてしまっている。だんだんトロトロになって糸まで引いてしまっているようだ。それだけでもされる女からすれば嬉しくも火照ってしまう、喜悦と屈辱の恥晒しなのだ。
しかも彼女からすればパンティの中でくぐもっていた汗や尿の臭いを嗅がれることが、死ぬほど恥ずかしかった。せめて余計な毛だけでも剃っておけば良かった。
(ああ、蕩けそう。どうしてこんなときにビンカンになってるのよ、私のバカ!)
そのくせ感じてしまっているのだから世話はないだろう。
「そんなもの、面白くないでしょ。オッパイだったらあとで触らせてあげるから。見せるのはヤだけど、服に手を入れるのはいいから」
どうにかしてリョウの関心と意識を現在の行為から逸らそうとする。賞玩されている部位よりはまだ乳房の方が恥ずかしくはない。ただ、痩せてしまって肋骨が浮いているだけに、やっぱり裸を見せることには躊躇いがあったけれども。