待ち望んだ決闘対決-1
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カリーナはコンピュータを見ながら、復讐希望者のリスト案件を漁っている。インターネットの不思議サイトで客を募っているのである。
「あ、この子は? チューチューペロペロしたい。パオパオ、パイパイな感じで」
横から画面を覗き込んだコアラは情報をざっと目に通して返答した。
「やめとけ、ショタコン。望む復讐の内容を見ろ。お前の趣味で客を選んでるんじゃない!」
コアラの冷ややかな目での裏拳がカリーナの頭を小突く。
「あっ、て! 痛いじゃん!」
「アホなこと抜かしやがるからだ」
コアラのボス(車両長)は怒気のある眼差しで親指を下に向ける。ガッデム!
「アホナコトって何さ」
「アホナコトはアホナコトだ、バカ」
「ひどー! どーせヤルこと同じよーなもんじゃない」
「違う。鉛玉でも、敵の兵隊をやっつけるか、間違って民間人や味方を誤射や虐殺するかで全然違う」
「意味わかんないしー」
カリーナが子供のように童顔の口を尖らせたが、コアラはどこ吹く風だ。
彼からすればこれも業務の一環でしかない。
そもそも基本的には戦闘員であって、ラグナロク(最終戦争)に優勢を導くためにこんなことをやっているだけ。その戦いは時空外や亜空間分子との闘争に加え、時間路線の争奪戦であるわけで、運転手だけでなく散発的な超時空の戦闘でも兵士として活躍している。
ゆえにこのカリーナがいくら「過去生での又従妹」であるとはいえ、電波娘を監督し続けるのは、いささかのストレスと不満がなくもないのであった。
「専属車両を預かっている意味と責任を考えろ! なっ!」