松村奈央-2
−−大学1年のころ、オリンピックに出場した後にスカウトされたのをきっかけにモデルになった。卒業でどちらかを選ぶという考えはなかった?
奈央「オリンピックに出た直後は大学卒業したら水泳を引退してモデルに専念すればいいかなと思っていましたけど、水泳辞めてモデルだけやっていてもあまり目立たないんじゃないかなって日に日に思うようになって、あまりやる人がいないような両立に挑戦しようって決めました。そう決めたときにヒナさんが声をかけてくれたんです」
−−どんな気持ちだった?
奈央「とにかくうれしかったですね。大学入学で地元から遠く離れたところに行くからってクラブ辞めちゃうし、休みの日に買い物に出たときにスカウトに声をかけられたらモデルになっちゃうし…。思い立ったら何の躊躇なくやってしまうから先々の展望をすることがないんです。それだから大学卒業後の進路まで考えていないんじゃないかって、どこから聞き出したのか、ヒナさんが声かけてきたんです。大学の寮を出た後の住まいも用意してくれて、初めはびっくりしましたけどうれしかったですし、これからは本気で水泳にもモデルの仕事にも取り組んでやろうって思いました」
−−日菜子さんと同じクラブになってからはどんな生活のリズム?
奈央「モデルの仕事は昼夜関係なくあります。朝に家を出て打ち合わせも撮影もして夜遅い時間に帰ることもあります。そういう日は遅い時間でもプールには入るようにしていますよ。モデルの仕事がない日は、ヒナさんが結菜と香菜や旦那さん(毅[#禁止文字#]さん40歳)を送り出した後に一緒にマシンとかクラブのジムでトレーニングします。結菜と香菜が学校から帰ると4人でプールに入ります。2人の他にも子ども達がたくさんいるので、練習しながらヒナさんと一緒に子ども達にアドバイスすることもありますよ。練習が終わったらヒナさんと一緒に夕食を作って、ヒナさんの家族と食事してから、自宅に帰ります」
−−1年前に日菜子さんの自宅を毅[#禁止文字#]さんと出る様子を写真誌に撮られて不倫疑惑が持ち上がったが、そういう生活サイクルは変わってない?
奈央「変わってないですよ。別にやましいと思ってないし、旦那さんは車の中の数分しか二人きりにならないし、特別な感情はわかないですよ。協会の人から記事を見せられても卑しいことはないですと応えただけ。協会の人は日菜子さんからも『そういうことはない』と聞いたみたいで何もなかったです。モデルの仕事にも影響という影響はなかったですね」
−−結菜と香菜の担当コーチ補佐(担当コーチは日菜子とされている)もしているが、自分の泳ぎに何かいい影響は出ている?
奈央「よくある話だと思いますが、自分の泳ぎに対して客観視できるようになりましたね。
2人にアドバイスすることで自分に足りないところがどの辺にあるのかがわかってきて、ヒナさんにその疑問をぶつけて自分のレベルアップにつなげているような気がします。大学の頃まではコーチの指導通りにしていれば何とかなるっていう消極的な態度をとっていたので、タイムが良くなっていてもうまくなっている、強くなっているって実感がわかなかったんですけど、ヒナさんとだと響くものがあるんですよね」
−−結菜と香菜はジュニアオリンピックで優勝したこともあるが、クラブのメンバーとして帯同していると大変なこともあるとか
奈央「この夏の大会の時でしたけど、私は結菜と香菜の付き添いでプールサイドに、ヒナさんはスタンドでレースを見ていたんです。協会の人はヒナさんにプールサイドの関係者席に行くように言っていたようですけど、他の親と同じ方がいいってスタンドに行っちゃって、『小林日菜子だ!』って保護者に握手攻めに遭ったって聞いています。私も私で練習時間中にコーチの方や選手の子達に囲まれました。泳いでいればいいって学生の頃は思っていたけど、私やヒナさんを目標にしている子がたくさんいるのに気付くと気持ちを引き締めないといけないなって思うようになりましたね」
−−モデルの仕事でイベントに出るときも大変?
奈央「モデルの仕事を始めたときは『水泳選手が何でモデルもやっているんですか?』って言われることがあったり水泳と関係ないイベントの会場にジャージとか水泳の雑誌を持って来てサインを求める人がいたりして『ちょっと違うな』って思うことがありましたけど、今はモデルとして参加するイベントで普通に喜んでいる顔が見えるようになったかな。上から目線になるかもしれないですが、モデルとしての私も認められているような気がします。不思議なことに、ファッション誌の切り抜きを水泳の会場に持ってくるファンの人が最近増えてきていますね」
−−今後の目標は?
奈央「オリンピックにまた出たいですね。バタフライでもフリーの短距離でも出たいですね。フリーリレーでヒナさんと同じチームになって一緒にメダルを獲れればと思います。
そのためにもこれからの2年間って大事になると思うので、一つ一つのレースを大事に全力で戦えるようにトレーニングを重ねていきたいですね。もちろん結菜と香菜にも何かしらの成果を見いだせるようにしたいです。モデルとしては自然体でやっていきたい思いもありますけど、もうすぐアラサーなのでアラサーだからこそ魅せられるものが何かを見つけることが目標になりますね」