飲み会の後に-3
二次会を断って、脇目もふらず家に帰った。
トイレに走り込んで、下着を引き下ろす。
糸を引いたそれに、おぞましさが込み上げた。
こんなの、許せないのに。
絶対に嫌なのに。
足りない。
足りない。
そろり、と人差し指を伸ばして、ためらう。
…わかっているから。
私の指ではきっと、蓮の指ほど中には届かない。
目を閉じて、委ねる。
蓮の指が入り口を軽く引っ掻き、引っ張る。
人差し指と中指をそろえて軽く突き、ぬかるみを掻き分けていく。
くちゅ…
第一関節が探るように曲がり、奥を開きながらナカを刺激する。
そのままナカでぐるりと回され、全方位を擦られる。
「ん…」
さらに指を1本増やそうとしたとき。
ピンポーン
オートロックの方のインターホンが鳴る。
こんな時間に?
時計は20:50を指している。宅配便にしては、遅い気もするけれど。
慌てて下着とストッキングをずり上げて直し、インターホンをオンにした。
「はい」
「美夜、俺」
さっきまで想像していた声が、スピーカー越しに響いた。
「……帰って」
「やだよ」
「入れるわけないでしょう」
「美夜、いいの? 昨日のマイク室のときの録音、ここで最大ボリュームにして流しても」
「は?」
録音?
「こんな時間に来てるんだから、脅す材料くらいあるよ」
「嘘でしょ」
「流そうか? ここで。俺はかまわないけどね」
嘘だと思う。でも、わからない。
もう蓮のことは何も信じられない。
でも、もし本当だった場合、それも耐えられない。
こちらが外に出るか。
でも…
自分のスーツの下の惨状を思い出す。
できるなら外にも出たくない。
「玄関以外には入れないから」
オートロックの解除ボタンを押す。
わかっていた。
開けてしまった時点で、私の負けだ。