深夜のオフィスで (4)-4
ゆき、ゆき、あぁ、もうやめてやめてやめてやめてやめてやめて、他の男のチンポをそんなに愛情込めて咥えないでそんなによだれ垂らして激しくフェラチオしないで。
「Yにフェラしてあげたの?」とさっき聞いたら、ゆきは少し気まずそうに頷いていた。辛そうな私を見かねたのか、「ごめんね。してって頼まれて……それで……」などと取り繕うようなことを言うので、そんなのなんの言い訳にもならないよと言って笑った。ゆきも笑い、もう一度「ごめんね」と言ってキスしてくれた。キスしながら二人とも笑顔で泣いていた。
てっきり、言われて仕方なくやってあげたのだとばかり思ってた。実際のフェラチオは想像とまったく違う。聞いてない。こんな一生懸命チンポしゃぶってたなんて。こんなに愛情込めてしゃぶってたなんて。
「ぁむ……んん……ぁぐ……んむ……ぁむ……ぷ……んむ……んぷ……ぁむ……ぁむ……んぐ……ぁむ……んむ……ぁむ……ぷ……んむ……んぷ……ぁむ……んぷ……ぁぐ……んん……ぁむ……んむ……ぁむ……ぷ……んむ……んぐ……ぁむ……」
ジュッポジュッポ、ジュッポジュッポ、ジュップジュップ、ジュルル、ジュププ、チュポン、ジュププ、チュポン、ジュッポジュッポ、ジュッポジュッポ、ジュップジュップ、ジュルル、ジュププ、チュポン、ジュププ、チュポン――。
長いよゆき。いつまでフェラしてるの。それにチンポ抜き挿しするのも速すぎるよ。どんだけ激しく頭を動かしてるの? 髪を振り乱し顔を歪めて一生懸命男根をしゃぶるゆきの顔、他の男に見せないで。早く終わって早く終わって早く早く早く早く、そんなに一生懸命フェラチオしないで早く終わりにしてもうだめもうだめやめてやめてやめてやめて。ねぇいつまでするの。長いよ。辛いよ。胸が張り裂けそうだよ。
「……んぷ……ぁぐ……んん……ぁむ……んむ……ぁむ……ぷ……んむ……んぐ……ぁむ……ぁむ……んん……ぁぐ……んむ……ぁむ……ぷ……んむ……んぷ……ぁむ……ぁむ……んぐ……ぁむ……んむ……ぁむ……ぷ……んむ……んぷ……ぁむ……んぷ……ぁぐ……んん……ぁむ……んむ……ぁむ……ぷ……んむ……んぐ……ぁむ……ぁむ……んん……ぁぐ……んむ……ぁむ……ぷ……んむ……んぷ……ぁむ……ぁむ……んぐ……ぁむ……んむ……ぁむ……ぷ……んむ……んぷ……ぁむ……」
ジュププ、チュポン、ジュッポジュッポ、ジュッポジュッポ、ジュップジュップ、ジュルル、ジュププ、チュポン、ジュププ、チュポン、ジュッポジュッポ、ジュッポジュッポ、ジュップジュップ、ジュルル、ジュププ、チュポ、ジュププ、チュポン、ジュッポジュッポ、ジュッポジュッポ、ジュップジュップ、ジュルル、ジュププ、チュポン、ジュププ、チュポン、ジュッポジュッポ、ジュッポジュッポ、ジュップジュップ、ジュルル、ジュププ、チュポ――。
職場の男全員にオナニーのおかずにされてしまうレベルの美人人妻OLが、自らの男性器をぱっくり咥え込みフェラチオ奉仕してくれるのを上から見下ろす気分はどんなだろう。Yが今味わっているであろう優越感、征服感を想像すると気が狂いそうになる。
そんな私の苦悩を見透かし追い打ちをかけるように、Yは昔語りをはじめた。
「八年前を思い出します、ゆきさん……」
Yの言葉と妻のフェラチオの音が重なる。
「ゆきさんに毎日こうしてもらいました……」
やはり一晩の過ちではなかった。
「言わないで……じゅる……ぺろ……」
私にはフェラチオなどしてくれたことはなかったゆきが他の男のチンポを毎日しゃぶっていたという重すぎる事実。その口で、ゆきは毎日私にキスをしていた。「おはよう」「行ってきます」「おかえり」「おやすみ」「ありがとう」――。少しはにかんだ笑顔で可愛らしく唇を尖らせる妻のキスは、セックスレスの日々で唯一の救いだった。
「いつでもチンポ出せば咥えてくれました……」
「ぁむ、やだ言わないで……んぐ……」
八年の時を経て知らされる、気も狂わんばかりの妻の裏切り。残業中だろうか。しかし当時は時短勤務だったはず。「年度末で忙しいから」と都合が許せば遅くに帰宅することもあったがたまの話である。
「俺の出した精子も、すべて飲んでく……」
「ねぇ、だからそういうこと言わないで……」
最後にわずかに残されたプライドなのか、少し強い調子でYの言葉を制するゆき。悲しげな口調に胸が締め付けられる。ただデリカシーのないYに怒って行為が中断されるのかといえば、そうでもない。男女の営みは、粛々と続いていく。
本当の地獄が、始まった――。