プレゼン-1
スクリーンの前に立つと、ホールの席は8割方埋まっていた。
なかなかの人数だ。
ここにいる全員に良い印象を与えて話を聞いてもらうには…
背筋を伸ばし、マイクを握った。
「営業部より、商品の説明をさせていただきます。よろしくお願いします」
自分の声が思ったより響いて、あっと思った。
昨日、マイクを調整し終わる前に蓮が入って来たから…
ああ、だめだ。
思い出してしまった。
このすぐ裏で、私はなんてこと…
昨日の熱量が、最奥から這い上がってくるようだった。
きゅっと身体の中心が締まる。
だめ。
だめ。
今は仕事中、しかもプレゼン中。
思い出してはだめ。