ふたりの途中下車-1
いつもより早い下校なのだろうか。窓を平日の真昼の日射しがつらぬく電車の中に、制服姿のL保はつり革を持って、スマホの画面を眺めていた。
座席がところどころ空いている程度の車内。そんなL保のうしろに近づく男のかげがあった。
男はL保の後ろに立つと、無造作に彼女のなだらかにふくらむ胸をつかんだ。
L保はピクッ!と身体を揺らし、スマホを落としそうになった。男は片手で制服ごしにL保の乳首をさぐってつまみ始めた。
そして、もう一方の手をL保の腰からスカートの中にすべり込ませた。
なめらかなお尻の丸みを直接指先で味わいながら、男の指はお尻の谷間をさぐりあて、少しずつ下へ下へと這いよっていく。
L保は足のチカラが抜けていた。
そして自分の身体を脅かしている男にもたれかかり、男はL保の髪に鼻を押し当てて香りを吸い込みはじめた。
「アンタ、何してるの!」
車内に声が響いた。ひとりの若い女性がL保のスカートから男の手を引きずり出し、その手首を強くつかんでいた。
「ちょっと、お姉さん。やめてぇな!」L保が男の手首をつかんでいた女性の手を払った。「せっかくテストが終わって、彼氏と『チカンごっこ』しとったのに……台無しやん。」
女性はあぜんとした。
「気が悪いわ。」L保は男の手をにぎった。「次の駅で降りよ。こんなオンナと一緒に乗っとられへんわ。」
まもなく電車が駅に着くと、L保と男は手をつないで降りていった。
▽
その駅は、日曜休日と平日のラッシュ時以外は駅員が配置されていない、切通しに設けられた小さな駅だった。
「L保……」男が言った。「おまえ、あのひとが警察のひとやったらどないするつもりやってん?」
「逃げるだけやん、V磨クン連れて。」L保の乳房やお尻をまさぐっていたのは、同級生のV磨だった。
「うわ……」L保が駅の時刻表を見て言った。「ここは秘境駅やん……某野台止まりの普通電車しか止まらへんから、次は40分あとやわ。」
「えらいところで降りたな。」と言ってV磨が振り向くと、L保はスマホで駅の風景を撮ろうとしていた。
V磨はそのスマホをつまみあげた。
「え?」と驚いたL保の身体をV磨はかかえるようにひっぱると、ホームの端に立つ「広告募集中」の大きな看板の裏に連れこんだ。