美女スイマー集結！-1
2021年秋、世界を熱狂させた美女スイマーが再び東京に集結した。しかし、今回はあの時と様子が違う。スタンドには全く人がいなく、会場にいるのは出場選手とほんのわずかな運営スタッフだけ。観戦したい人は大会サイトからリモート観戦することになる。
ロッカールームに自前のジャージ姿の8人の女子スイマーが集められていた。ほどなく役員の女性がハンガーにかけた水着を持って入ってきた。ハンガーにかけられていた水着は普段なら練習で使う三角ビキニ。
「今回の大会で皆さんに着てもらうのはこの水着です。水着のサイズについてはすでに国際連盟のデータで確認していますので各選手専用のものとして渡しします」
淡々とした口調で説明すると参加者それぞれにビキニを手渡す。左の胸に苗字、右の胸に国の名前が記されている。
「これをレースで着るの？」
8人はそれぞれ首をかしげる。その声に耳を貸すことなく役員はこのビキニに着替えて招集所に移動するように命じる。しぶしぶ選手たちはジャージを脱ぎ水着に着替える。
「ねぇ、このビキニ、サーヤがいつも使っているやつに似てない？」
日本の堀口朱里がスウェーデンのサーヤ・ソールスベリに話しかける。朱里とサーヤは3年前にフランスで合同合宿をやった仲で、メールやテレビ電話でしきりにコミュニケーションをとる。親友といっても過言ではない間柄ともいわれている。
「そうね！ 縁取りのあたりね。朱里、白と赤の水着お似合いにね。そういえば、見てない間に…」
サーヤが朱里の右側の胸を指でつつく。
「きゃっ！ フフフッ。トレーニングのおかげ。サーヤからもらったブラがきつくなったの」
「それだったらいいわ！ 揉まれたら大きくなるって話を聞いたことあったから…」
「そういう相手、まだいないんで…」
朱里は顔を赤らめていた。その瞬間、場の空気は一気に和んだようで他の選手からも笑い声が聞こえる。そして8人は招集所に向かった。
プールでは無人にもかかわらず煌びやかな照明や大音量の音楽で派手な演出が施されている。その空間にビキニをまとった8人が1人ずつ姿を見せる。
最初に登場したのは朱里。最近の競泳水着ごしでは見えにくい張りのあるFカップを見せつけるように堂々とプールサイドを歩く。
次に登場するのはサーヤ。リモート観戦するファンを意識してかカメラに向かって笑顔で手を振りながらプールサイドを歩く。
3番目はオーストラリアの18歳、ジェニー・スミス。まだあどけなさが残る笑顔とは裏腹に朱里に負けず劣らずのスタイルを見せている。
4番目はアメリカの22歳、メアリー・フォスター。美脚がとにかくまぶしい。そしてクールなほほえみを浮かべてプールサイドを歩く。
5人目に登場するのは中国の30歳、唐美麗（とう・みれい）。形のいいヒップを見せつけるようなポーズをとりながら笑顔を見せる。
ブラジルからは日系3世のシモーネ・ヨナハ。21歳には見えない大人びたルックスとGカップのバストが目を惹く。
7番目は南アフリカの24歳、ペリー・ヘインズ。モデルを副業にしているだけあって歩くさまもカメラ目線も堂々としている。
最後に登場したのは朱里と共に日本代表として迎え撃つ竹内里穂。美乳・美尻・きれいなくびれとバランス取れたスタイルは外国選手とも見劣りしない。胸を張ってプールを歩く。
8人がスタート地点の前に揃ったところで、8人の目の前に小さなテーブルに置かれた箱が2つ運ばれる。スタート地点の反対側にある電光掲示板にはトーナメント表が映し出される。競技役員から今回の競技方式が説明が始まった。
今回の大会の特徴は勝負だけが重視されること。8人一斉に泳ぐレースは行われず、1対1のマッチレースが繰り返される。マッチレースで先に3勝した方が次のラウンドに進む。競技種目はレースごとに変わるが、種目はそのたびに抽選で決まる。そしてマッチレースに敗れるごとに敗者はビキニのブラ、ショーツの順に脱がないといけない。全裸になった状態で敗れるとその選手は敗退になる。これが「己の羞恥心に打ち勝つ戦い」といわれる所以である。
いよいよ組み合わせ抽選が始まる。まずは日本の2人の抽選。決勝まで日本人同士の対戦がないようにするため日本人を別々の山に分ける抽選を行う。朱里が第1試合、里穂が第4試合に出ることになった。他の6人の抽選も終わり1回戦の対戦カードが決まった。
▽1回戦
第1試合 堀口朱里−メアリー・フォスター
第2試合 ジェニー・スミス−唐美麗
第3試合 サーヤ・ソールスベリ−ペリー・ヘインズ
第4試合 竹内里穂−シモーネ・ヨナハ
▽準決勝
第1試合 1回戦第1試合勝者−1回戦第2試合勝者
第2試合 1回戦第3試合勝者−1回戦第4試合勝者
▽3位決定戦 準決勝第1試合敗者−準決勝第2試合敗者
▽決勝 準決勝第1試合勝者−準決勝第2位試合勝者
プールサイドに朱里とメアリーを残し、戦いが幕を開ける。