「缶蹴り」-2
・・でも僕は約束を守れなかった・・
――あの後彼女は鬼に捕まり僕は「約束」を果たすべく彼女がいる鬼の陣地へ向かって走った。
――ただひたすら走る。
――走る。
――走る。
彼女まで後少しの所まで迫った途端、僕は足を滑らせ転んでしまった。
「裕也見っけ〜、」
・・あれからもう何年になるかなぁ?・・
・・君は知らないだろうけどあの日、帰り道で僕は泣いてたなぁ。転んで痛かったのもあるけど、でも涙のほとんどが悔しさから流れ出た涙だったと思う。・・
・・君は知らないだろうけどあれから僕は君のことを好きになったんだ――初恋ってヤツかな。でも僕のこの気持ちを知らないまま君は転校してしまったけどね・・
・・君が死んだって話しを聞いた時は信じられなかったよ。まだこうして君の顔を見てもただ眠っているにしか見えないしさ・・でももう君はこの世界にはいないんだよね。もう笑わないんだよね。
・・約束、また守れなかったなぁ・・
その日の帰り、あの公園に寄ってみる
昔と変わらない風景、変わらない風の匂い
僕はポツンと落ちている空き缶を見つけ、おもいっきり蹴っとばしてみた
――カンッ――
公園に虚しく響く音色
「・・もぉ、いいかい?」
僕は夜空を見上げ
一番輝いている星に向かって呟いた