『朝焼けのフライト』-2
何色とも例えがたい、色。
それは暖かく輝いていて、世界がまた動き出すとでもいうような、光だった。
光の色は、七色で。
涙が出そうなくらい、本当に綺麗だった。
自分が小さく見えて、空はこんなにも広くて…世界は繋がっている。
そんな当たり前の事を、実感した。
「なーんか、俺って小せぇなーって思える。」
「…うん。」
そう、本当に…私達は小さいのだ。
こうして広い空を、小さな飛行機の小さな窓から見ている私達なんて、すごく小さいのだ。
「さっき…、ごめん。」
「ん?あぁ、俺もごめん。」
彼は笑った。
『こんな綺麗なの見ないで寝てるなんて、みんなアホだよなー。』
朝焼けの光に照らし出される彼の、笑った横顔を見て思う。
そうだ、この笑顔にやられたんだ。
後から来たスチュワーデスさんに、窓のカバーを下ろすよう注意されても、
彼は度々、彼女達の目を盗んで朝焼けを楽しんでいた。
「あ。窓際にする?」
「…いい。」
幻想的で希望に満ちた光の中、アナタの横顔を見ていたいから。
「…あ、そうだ。着いたらさー、渡すもんがあるからな。」
「え、何?」
「秘密に決まってんじゃん。」
何となく眠気に襲われた私は、それから眠りについた。
後に、この旅行中彼がアメリカでこっそり買ったという婚約指輪を渡されるとは、露知らず。