夏の想いで-3
2週間後〜
いつもより早く目が覚めて、着慣れないスーツを着る。革靴をはいて外に出ると、そこに亜紀が立っていた。
「なにやってんだ?こんなとこで」
ちょうど膝が隠れるほどの淡いブルーのドレスを着ていた。きれいなブルーが、色白の亜紀にはよく似合っている。
「一緒に行かない?」
断る理由もなく、二人並んで歩き出した。亜紀のはいているヒールの音が鳴る。
「優太は…まだお姉ちゃんのことが好き?」
驚いて亜紀の顔を見る。
「そんなにビックリしないでよ。私が知らないとでも思ってた?」
そうだよな…知ってても別に不思議じゃないよな。幼稚園の頃から一緒にいるんだから。
「いや、もう昔の話だよ」
俺は嘘をついた。自分の気持ちにフタをした。そうでもしないと自分がどうにかなりそうで怖かった。早く忘れなければ…。
「そっか」
目の前にいる早紀さんは白のウェディングドレス姿で、とても幸せそうな笑顔だった。
今年もまた、暑い夏が終わる。長かった片想いと共に。
END