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俺のラブストーリー
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俺のラブストーリー〜経過〜-2

ここまでくれば誰もが理解してくれると思うが、アゲハは料理がド下手なのである。
初めて料理として出された時は食中毒で病院に直行させられた…
三食付き三万円はとても安いが、今はとても食事の時間が怖い。



料理に文句を言われてまた鬼と化したアゲハをなだめつつ朝飯を無理矢理流し込み、俺はバイト先へ自転車を走らせた。


俺のバイト先は那覇空港の近くにある小さなカフェだ。
カフェと言えば聞こえは良いが実質は沖縄料理のレストランと大して変わりはない。
俺は基本的にはフロアで働いている。
料理を運んだり、注文を受けたりする思ったよりは忙しい仕事だ。
まぁあんまり広くはないのが唯一の救いである。

「いらっしゃい!」
笑顔でそう言いながら汗みず垂らして働くのは意外に達成感のあるものだった。
「なんかカフェなのに誰もコーヒー頼まないのってどうなんすか?マスター」
「うるせぇ!いいんだよ。毎月黒字なんだから」
そう言ってマスターは笑った。
このマスターはとても砕けていて優しい、いい人だった。
だから、誰からも好かれて常連さんも多くいる。
「なに言ってんのよ!ギリギリの黒字でしょ!?なんだかんだでやりくり大変なんだからね!」
このぷりぷり怒っているのはマスターの娘さんの凪ちゃん。
温厚なマスターの叱り役である。
俺と凪ちゃんは年も近くてすぐに仲良くなった。
そして、仲良くなってすぐにわかった。凪ちゃんはなんだかんだ文句を言いつつもマスターが大好きなんだと。


なんだかんだで夕方になった。
マスターに言ってバイト先を出てまた来た時と同じ道を戻る。
この道は夢で見たあの時の帰り道に似ている…
懐かしいようで寂しい…
そんな感じがする道だった。
でも、今はそれに加えてとても苦しい胸の痛みを俺は覚えていた。
……あの時の俺ははまだ梨佳に憧れていた。
俺にとってはまだ雲の上の人で、お互いがお互いに片思いをしていた時だった。

しかし、そんな時、事件が起こりそれがキッカケで俺と梨佳は付き合うようになった。

その詳しい話をするにはまだ精神が安定してないのでいつか話せる時が来たら話そう。


そんな事を思い出しながら家に着いた。
…台所の辺りからまた黒い煙が外に漏れだし、それに加えてなんとも言えない悪臭が立ち込めていた。

どうやったらあそこまで失敗できるのだろうか…?
(あいつはある意味天才か?)
と思いながら家のドアを開ける。

「ただいま〜」
するとアゲハが泣きそうな顔で出迎えた。
それを見てまた苦笑いをする。でも、そんな感じも悪くないと思い始めている自分がいる。
大分、前よりは精神が安定してきている証拠だろう。


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