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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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深夜のオフィスで (2)-2

 Yのことを想像しながらイッたのかと聞くと、「ふふふふ……秘密」と笑って私の乳首を弄り始めた。
「教えてよ」
「やーだ。秘密」
 額に汗を浮かべ、頬を紅く染めている。
「ずっと無言で感じてるゆき、可愛かったよ……どういう気持だったの?」
「んーー。パパに甘えてる……」
「甘えてる?」
 意外な言葉だった。意味をたずねても口元に笑みを浮かべたまま答えない。ずっと私の乳首を指先でこねている。ゆき自身、なにごとか考え込んでいるようでもあった。

 夫の乳首を刺激しながらときおり私の顔を見上げ、薄く微笑むゆき。
「さっきの質問の答え……知りたい?」
 汗と疲労を滲ませた人妻の表情にドキマギしていると、ゆきが言葉を続けた。
「ゆきね……Yくんとのエッチ、想像してたよ……」
 上目遣いでいじわるな笑みを浮かべている妻。私の反応を伺っている。
「中出しされちゃうところも……?」
「ふふふ……ごめんね……」
「あのさ。ひょっとして今日キスされたとき、少しドキドキしちゃった?」
 一瞬の間を置き、なんとも言えぬ表情で微笑み、首を縦に振るゆき。
「そっか……。ありがとう、教えてくれて」
「普通に旦那さんの前でこんなこと言っちゃう私っておかしいよね」
「おかげで泣きそう」
 実際、突然のゆきの率直な告白に胸が張り裂けそうになっている。
「泣かないで。パパ大好き」
 優しくキスしてくるゆき。夫婦で抱き合い、互いの身体を優しく愛撫しあう。
「勘違いしないでね。ゆきは本当はたった一人の大好きな旦那さんと幸せに暮らしたい人なんだよ?」
「知ってるよ。ゆきはさ、ただ人よりちょっとエッチが好きなだけだよね」
「あーやだなぁ……こんな自分……」

 妻の声がかすかに震えている気がしてふと見ると、ニコニコしたまま目に涙を溜めていた。
 ゆきは今でも、性に奔放な我が身をもてあましているのだ。当たり前だと思う。元来は真面目で貞淑な人妻が、自ら身を持ち崩すようなことをして平気でいられるわけがない。先日は、夫にも内緒でゆきずりの男と路上セックス、フェラチオ、果てはアナルセックスまで許して肛門に射精されてしまった。

「……こんな奥さんで……ごめんね……見捨てないで……」
「見捨てるなんて……。ゆき、謝らないで」
「ふふふ。たったひとりの大好きな人となんて……私……嘘ばっかり……」
 くりっとした妻の瞳から大粒の涙がぽろりと流れ落ちた。
「えへへ。私のほうが泣いちゃった……」
「大丈夫だよ、ゆき……」
「大丈夫じゃないもん」
「大丈夫」
「……じゃあ知ってる? パパとしばらくエッチできなかった間もゆき……Fくん、Zくんと……会ってたんだよ?」
「そっか。どうしてるのかなとは思ってたけど……」
「エッチできないパパを放っといてゆきは他の男の人と……。パパの奥さんはそういう人だよ……」
「そもそもは旦那の変態性癖のせいだろう?」
「ううん。そもそも奥さんがエッチじゃなければ、こんなことにはならないもん」
「エッチなのは悪いことじゃないよ」
「悪いよ」
「悪くないよ」
「じゃあ素敵な人にデートに誘われて嬉しいって思っちゃうのは?」
「魅力的な異性に誘われて嬉しいのは当たり前だよ」
「口説かれて、見つめられて、手を握られたら……キスしたいって思っちゃう。ホントだよ? こんな奥さんでいいの?」
「ゆきを他人に貸し出し始めたときから覚悟してた」
「キスされたら気持ちが溢れて止まらなくなっちゃう。エッチしたいって思っちゃう。パパはそんな奥さんでいいの?」
「いいよ。エッチしたいと思う異性が一人だけなんて、そっちのほうが不自然だよ。ゆきは悪くない」
「浮気は悪いことだよ。旦那さん以外の人とエッチしたいなんて……そんなのだめだよ」
「いいとかだめとかじゃないよ。誰だって他の異性になびくことはあるよ」
「パパはないじゃん!」
「お、俺だって……」
「……?」
「俺だって……」
「なに? あるの?」

 少しゆきの声色が変わった気がする。
「……オ、オナニーならゆき以外の女性ですることあるよ!」
「……え? そうなの?」
 ゆきがびっくりしたような顔をして見つめてくる。妻の刺すような視線に焦って言わずもがなの発言をしてしまった。
「ゆき以外って誰?」
 ジトッとした目で睨んでいる。さっきまで泣いていたくせになんなんだ。
「あ、いや、AVとかだよ、もちろん」
「嘘。正直に言いなさい」
「ほんとだよ。ほら、ゆきも知ってるだろ。俺って『エロ動画紳士』だから」
「パパが『エロ動画紳士』なのは知ってるけど今はそういう話してない。正直に言いなさい」

 どうしよう。アダルトビデオでは納得してもらえそうにない。「怒らないから」と言うがすでに怒っているじゃないか。ゆきを慰めるはずがいつの間にこんなことに。

「ほら早く。パパ、誰で一人エッチしてるの?」
「えっとほら、えっと例えば……麗美? とか……?」
「は!? 麗ちゃん?」

 ゆきの顔色が変わり眉間に皺が寄った。まずい。
 よりによって一番挙げてはいけない名前を口走ってしまった。私と大学時代の同級生にして新卒入社の同期、ゆきよりも長い付き合いの麗美に、妻は妙な対抗意識を持っている。
 互いの結婚式でスピーチをし合うなど、ゆきと麗美の仲は昔も今も極めて良好なのだが、私と麗美が仲良くしゃべっているとふと表情に影がさすというか、やきもちを焼いていることを悟られぬよう自然に振る舞おうとして、逆に顔に出てしまっている。しかも後々冗談交じりを装いつつ実は結構本気でチクチク嫌味を言ってくる。そんなゆきが可愛くてからかってみると、ツンツンしつつも顔は真っ赤になりさらに愛おしくなる。


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