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らぶすとぅりぃ*出会い
【コメディ 恋愛小説】

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らぶすとぅりぃ*音楽室の壁の穴-2

「なっにさ鷲見ばっかりいいトコ入っちゃってさ!…ところで、応援委員て何すんの?」
ちょっとむくれて見せた後に、栞が鷲見に問いかけた。
「んー…、あたしも詳しくは知らないけど、昼休みとか放課後に応援練習してたわよ?」
それを聞いた栞は、
「えー!!あたし、県立落ちてここ入って、唯一(いやもっとあるかもだけど)気に入ったところは無部OKってとこイコール、早く帰れるってとこなのにぃー!」
と、明らかな落胆の色を見せた。
「まぁ確かに女子に不人気の委員会第一位ってとこは可哀想だけど、やれば楽しいって☆」
白い歯を出し、右手の親指をビッと立てて、鷲見はにこっと笑う。
「じゃあ交換して」
「嫌に決まってんでしょ。」
即答。
「ぅあー!!もう嫌になるなぁ!」
背もたれに思いっきり勢いよくもたれ掛かって、栞が宙を仰ぐ。反動でダランと力無さ気に放り出された腕からも、背もたれにもたれ掛かりすぎて、椅子から滑り落ちてしまいそうなケツからも、嫌だという空気がひしひしと伝わってくる。
「ファイトだぞッ、栞チン☆」
両腕をファイティングポーズのように曲げ、首を左に傾けながらの鷲見悩殺ウインク。
初めて呼ばれたあだ名と、鷲見の悩殺ぶりっ子(?)に軽くウながらも、栞の無気力姿勢は変わらない。
「…とりあえず、相手がいいなら別だけど…。」
虚ろに天井を見つめながら、聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で、栞が言った。両耳野生児並みの聴力を持つ鷲見は、その声を難なくキャッチした。
「あぁ、それなら佐伯君だよ。」
「…誰それ?」
佐伯君と言われても、栞は今日が高校初登校。顔はおろか、名前なんて以ての外。担任の名字すら思い出せない(作者が)。
「誰それって、あんたの前の席じゃない。」
前の席…。
栞はそっと前に向きかえる。
「!!…最っっっっ…悪!」
あからさまに顔をしかめる栞。
パックのジュースを握りしめすぎて、ストロー口からチョロッとスポーツドリンクが顔を出した。
「よりによって、あたしの大失態を一番最初に、それも馬ッッッ鹿でかい声で大笑いしたこのクロンボが一緒の委員会って…!」
わなわなと震えながら、あの時の光景を思い出す。
…笑いの渦の中、一人佇む(?)あたし…。嗚呼なんって可哀相!!!…あいつの大笑いが無かったら…!(いや無かったとしても笑われてたかもしんないけど!)

♪ピンポンパンポーン↑

“ん、ん、あー、一年三組ィ、佐伯和哉君、櫻庭栞さん、次の休み時間に担任の…ところまで来るように!”

♪ピンポンパンポーン↓

素晴らしいタイミングで、担任からのご指名。

キーンコーンカーンコーン
「はい、それでは数学始めます。」

そしてチャイム。と同時に入ってくる数学担当ちょいハゲ親父の杉浦先生。
厳つい顔がなかなかなおらない栞の前の席で俯いた和哉が、これ以上開かん!と言わんばかりに目を見開いて、軽く冷や汗を流しながら微妙にカタカタと震えていた。
なんという偶然か、栞たちの会話は前の席の和哉たちにだだ漏れだった。
《やっぱり、怒ってんだ!!ク…クロンボとか言われてたしィィ!!(ホントのことだから否定も出来ないしィ!)》
見る見る青い顔(かはあまりに黒くてそんなにわからないが)になる和哉。授業なんて全く耳に入らない。

無情にも、かつ当たり前にも、時間は刻々と過ぎて行った。


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