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美少女 羞恥徹底
【学園物 官能小説】

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桜と初恋と鉄の掟-3

 そして週が明けた月曜日の放課後、他に誰も見ていない校舎の蔭で村上に告げた。こういうことはやはり面と向かって告げなければいけない。恵理子はそう決めた。今まで全くできなかったけれど、自分から告白するのと、どちらが勇気を振り絞る必要があったのだろうか。

「ごめんなさい、おつきあいはできません。今は……それしか言えません」
理由は言えなかった。間違っても沼口のことを言うわけにはいかないし、こういうときに理由をつくるのは、彼女はいたって不得手だ。受験生だから勉強に専念したいとか、そんなものが理由にもならないことぐらい、彼女自身よくわかっている。その後何も続けられず、うつむいて沈黙した。

「そうか、残念だ。迷惑なことだったのならすまない」
 村上は本当に誠実だった。恵理子にその気が無いと聞いて、それ以上は問い詰めなかった。ずっと恋心を寄せてきた美少女の悲しげな瞳が意味するところを、彼は知る由もなかった。
 落胆の色は隠せない様子だったが、それでも男らしい毅然とした態度は崩さないまま背中を向け、彼はその場を後にしていった。

 村上の姿が見えなくなってから、恵理子は泣き崩れた。

 こんな失恋が、あっていいの?

 せっかくずっと好きだった男の子から告白されたのに、自分から振らなければいけないなんて。
こんなことなら、いつまでも片思いだったほうがよかった。それなら憧れとときめきだけは、ずっと失わずにいられたのに。いや、村上くんに他に好きな人ができて、それで振られることになったとしても、そのほうがまだ諦めがついた分ましだったかもしれない……。

恵理子は無念すぎる無念、悲しすぎる悲しみをかみしめた。彼女の青春は、すべて沼口の手に握られていることを改めて痛感させられた。
春風がさっと吹いて、舞い散る桜の花びらが一枚、彼女の頬に落ち、涙で濡れて貼りついた。

ちょうど桜の季節も終わりを迎えようという頃、こうして乙女の初恋も散ったのだった。


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