玩弄-3
「これで、終わりですよね?」
不安げな声で、恵理子は尋ねる。だが沼口は淫らな笑みを浮かべて告げる。
「そんなわけがないだろ。ここから全部脱いでもらうんだよ」
沼口の目論見は、制服姿から裸になるまでの過程を、さっきとは違って途切れることなく動画に撮ることだったからだ。
なまじ希望を抱いてからのことだから、恵理子もいよいよ愕然となる。だが、どうしようもない。
さっきまでの脱衣を再現し、ブラとパンティだけの姿になる。ここですぐに全裸にならず、下着姿でいったんためらう姿を見せること。全部脱いだ後も、まずは手で胸と性器を隠すようにすること。事前にそういうことまで指示されていた。
まるでアダルトビデオの監督のようだが、恵理子も大人の男の人のためのエッチなビデオがある……ぐらいのことは知っていたとしても、それ以上のことはまるで知らない世界だろう。
「いやいや、最高のストリップをありがとう」
すっかり満悦した表情で沼口はカメラを置く。あとはゴールとしての白い裸身をじかに眺めるまなざしが残されるのみだった。
恵理子は内心ひどく怯えていた。今度こそ襲われるのではないかとも思ったのだ。
あの時、レイプするといった脅しは全部嘘だったのだ。だったら少なくとも高校生になるまでは純潔を奪わないという沼口の言葉だって、嘘ではないという保証がどこにあるのか。
かといってこの姿になってはもう逃げられない。沼口が歩み寄ってくると、ただ真っ白な裸身をがたがたと震わせるのみだ。
沼口は身をかがめると、彼女の剥き出しの下腹部を至近距離から凝視する。
「うむ、いい子だ。ちゃんと剃ってるようだな」
もし剃り残しでもあったら何を言われるだろう……と恵理子は気にもなったが、それはなかった。 まだ薄くやわらかな恥毛だから、剃り跡もザラザラとして目立つこともない。
そして沼口の指先で秘唇を広げられ、覗き込まれた。
「まさかこの半月でやっちゃったってこと、ないよね?」
「そんなこと、あるわけないじゃないですか……」
前と変わらず生娘の証が残っていることを、沼口はその目で確かめた。
それまでだった。全裸になってからは、意外と淡々と終わった。そのまま服を着るように言われると、その後は何もされなかった。
沼口としては、今回は恵理子の裸そのものよりも、裸になっていく過程を見たかったのかもしれない。また「お礼」などといって3万円を渡され、この日はそれで解放された。
けれども、これからも同じようなことが繰り返されるものだと思うと、恵理子は自分の青春が、もう完全に沼口の手に握られていることを思い知らざるを得なかったのだった。