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美少女 羞恥徹底
【学園物 官能小説】

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彼女はどのようにして罠に落ちたのか-2

 人通りも少ない街はずれにある、ここギャラリー・ユピテル。少女の中学区内にあるとはいえ、絵画が好きな彼女でも、今まで来たことも無い場所だった。1階はガレージになっていて、ドアは階段を上がって2階にある。

 少女はインターホンを鳴らし、優等生らしく丁寧な言葉遣いで話しかける。
「すみません、今朝連絡した長橋です。落とし物を届けに伺いました」
「はい、どうぞ」

 階段を上がってドアを開けると、中は一面白い壁でスカーレットの絨毯が敷かれた廊下が、奥の展示スペースに続いている。廊下の左手にある事務室から、インターホンの声の主が出てきた。

 声からして予想されたとおり中年男性だった。がっしりした感じの体格の人だった。年齢は少女の父親とそんなに違わない、40代半ばから後半ぐらいに見える。この人が持ち主の沼口さんで、きっとこのギャラリーのオーナーなのだろう。
「沼口さん……ですか?」
「うん、そうだよ」
「これ……ですよね?」
 少女は学生鞄から今朝拾ったブリーフケースを取り出し、沼口に示した。

「あ、それだそれだ」
 沼口はにこやかな表情で件のものを受け取り、中身を確かめた。
「大事な書類だったんだよ。わざわざありがとうね。拾ってくれたのがこんな親切なお嬢さんでよかったよ」
 お礼の言葉を聞くと、用件は済んだということで、少女は退出しようとした。
「それでは、これで失礼してよろしいでしょうか」

「待ってよ、ちゃんとお礼はするからさ」
電話でもお礼はすると言われていたけど、彼女は別に求めるつもりはなかった。困っている人の役に立てるならそれでいい。そういう気持ちに満ちた優しい娘なのだ。
「いえ、別に結構ですが……」
「いやいや、せっかくだから、ゆっくりしていってよ」
 そう言われたので、ちょっとは言葉に甘えることにした。

 靴を脱いでスカーレットの絨毯が敷かれた廊下に上がる。少女は学校では美術部員だから、このギャラリーに展示された絵にも興味を覚えるのだ。
「展示の絵、見ていっていいですか?」
「いいよ」

 少女は狭い廊下を通って、奥の展示スペースに入っていった。そのとき彼女の背中を追う沼口の眼差しが、さっきのにこやかなのもとは違った邪なものだということに、まだ気づいていない。

 今は何かの展示会ではないのか、飾られているのは常設らしい数枚の絵しかなかったが、それでも興味を引く風景画もあって、少女は見入っていた。私も、こんな風に描けたらな……。

 そんなふうに思いをめぐらせていたとき、背後の廊下の向こうでガチャリとドアの鍵がかかる音が聞こえた。その意味もまだ、彼女にはわかっていなかった。
いつのまにか、傍には沼口がいた。

「いやいや、ほんとに可愛らしいお嬢さんだね」
「あ、ありがとうございます……」
 可愛いと褒められてちょっと照れるところだが、何か言葉の調子が変わっているような気がする。さっきまでの優しい雰囲気とは何か違う。

 そんな気がしたとき、ふと、少女はただならぬ空気を感じた。その華奢なからだを舐め回すような視線が、背後からでも感じとれた。

 まさかとは思い沼口の方を向いたとき、彼女より頭ひとつ近く高い位置から見下ろす眼差しとぶつかった。それはギラギラとあからさまに欲情に満ちたものであることが彼女にもわかった。まるで獲物をうかがう蛇か狼のようだ。

 何か恐ろしい予感を覚えて思わず後ずさりする少女に対して、沼口がかける言葉は決定的だった。
「いやいや、よく来てくれたよ、長橋……えりこちゃん」

 名前を呼ばれて、少女は慄然となった。電話では確かに「長橋」と名字だけを名乗った。さっきインターホンで話した時もそうだった。「恵理子」までは言った覚えはないのに、どうして今日初めて会ったばかりの人、たまたま拾ったあのブリーフケースの持ち主が私のフルネームを知っているんだろう……?

「長橋恵理子。瀬山中学校2年B組。8月19日生まれの14歳。学年でもトップクラスの優等生で、クラブは美術部で図書委員。このときを待っていたよ」
 あからさまに具体的な個人情報まで並べたてられて、この男のことが、空恐ろしくなった。

「どうしてそんなことを知ってるんですか? どうやって、そこまで調べたんですか……?」
「君に答える義務なんてないね。君がこれから、俺の言う通りにする義務があるだけだ」

 これから、いったい何をされるんだろう……恵理子は恐怖に身がすくんだ。
 あの落とし物は、最初から罠だったのだ。わざと彼女が拾うような場所に置いて、連絡させ、ここまで届けるように言って、呼び寄せたのだ。その裏に隠された悪意などまるで思いもよらなかった、自身のあまりの浅はかさを恵理子は呪った。


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