前編 (2021/05/31)-2
「はい、それでは始めます。
浩平くん、テキストの35ページを開いてちょうだい。」
「はい。」
「今日は男性器についてよ。
まずは、浩平くん、読んでちょうだい。」
「・・・・はい。」
「・・・・性的に興奮したり、・・・・刺激を受けると・・・、
海綿体に血液が・・・・、陰茎・・・勃起・・・・・射精が・・・・・・。」
浩平はたどたどしく、テキストの文章を読んでいった。
「はい、ありがとう。
ペニスが勃起して射精に至るプロセスは大事だから、
よく復習しておくこと。
テストに出すからね。
浩平くん、いい?」
「・・・・はい。」
心なしか浩平の頬が上気している。
保健の授業で、しかも内容が内容だけに、
浩平の様子がいつもと違ってきていることに美咲は気付いていた。
「・・・・・さて、と。
では、続いてマスターべーションのところね。
オナニーって言う方が普通かしら。」
美咲は努めて平静を装っていた。
というのも、美咲は男性経験が無い。
浩平に向かって説明している内容は、本やインターネットで得たものばかり。
内心冷や冷やしながら授業を続けていた。
「浩平くん、読んでくれる?」
「・・・・は、はい。
・・・マスターベーション(オナニー)とは・・・・・・、
自分の手などを用いて・・・・、快感を・・・・・。」
浩平の口調はかなり上ずっている。
「はい、ありがとう。
次に、図解を見てみましょう。
えっと・・・、
浩平くん、20ページを開いて、
写真やイラストを確認してみて。」
「はい。」
浩平は図解を開き、記載されている内容を見始めた。
浩平は頬を赤らめながら真剣な表情で図解に集中している。
美咲はそんな浩平の横顔をじっと見ていた。
* * *