『あなたの海』-2 『ほら、そんなに泣くものではないよ。』 セピア色になったその写真から、あなたは今年も声を掛けてくる。 …もう何年が過ぎたのだか、すっかり年寄りの私にはあまり関係のない気がします。 ただ、やっとあなたに会いに行けるかも知れないという事だけ、分かっていればいい。 長生きしすぎた私の、ささやかな幸せはきっと いつかあなたの海に抱かれる事です。