女らしく【番外01】『まっどとマッドとMad』-3
「此所デスカ」
ミリィのSOSは目の前に聳え建つ廃倉庫から出ている。
「お邪魔シマスヨォ〜!」
シャッターを押し上げ、中にいるミリィとそれを取り囲む四人の男の幽霊を確認する。
「博士…ごめんなさい……」
ボロボロになったミリィが弱々しい声を出した。
見れば右腕のロ◯ットパンチは外れている。
「う〜む、連発出来ないのが弱点デスカ…」
「テメェは何だ!そんなひょろい身体でやるのか?」
我輩を見て男達が笑う。
四人はそれぞれ、腕が槍のようだったり剣だったりシテイマスネ。
「スミマセン…ミリィ…」
その言葉に安心したのか、途端にミリィの瞼は閉じ、身体からは力が抜ける。
「良カッタ。あんまり、戦うところは見られたくアリマセンノデ♪」
ポケットからメスを取りだし、ダランと構える。
「そんなので殺ろうってのか!」
「いやいや、コレもなかなか使えるんデスヨ♪例えば…」
姿がぶれる…
「こんな風ニ♪」
一人の背後に突然、影が踊り、銀の筋が首もとに走る。
サアーっと風に舞うように魂のかけらが消えて逝く。
「なっ!」
残りの三人は目を見開き、驚愕の表情を浮かべる。
しかし、そこには既に影は無く…
「こんな風ニモ♪」
続いて三人のうち二人が消えて逝く。
「ひぃっ…」
残りの男は逃げ出そうとするが…
ズルッ!
足が機能しない。
「無駄デスヨ…腱を切りマシタカラ」
振り替えるとそこには厚い瓶底眼鏡から、冷たい双眸が覗く。
「あなた達は、第2段階に入って、まだ一ヵ月足らずですね?
…魂が未だ肉体から離れきれてない。甚だ未熟。腱も筋肉の作りも生前のまま、変化したのは上辺のみ」
知人が聞いたならば、驚愕するであろう冷めた声。
「ミリィは優しいですから、多分何とか穏便に済まそうとしたんでしょう。でも、抵抗しないミリィをあなた達は傷つけた。
違いますか?」
男はガクガクと震え、その場から動くことが出来ない。